ルーマニア:国外で働く労働者の増加に対応して政府が支援機関を設置

カテゴリー:外国人労働者

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  • 国別労働トピック:2004年12月

EU(欧州連合)加盟を2007年11月に予定しているルーマニア。長らく共産体制下にあった同国では司法制度の改革など種々の課題も指摘されているが、経済の安定はEUによっても評価されている。今年の経済成長率は当初予想の5%を上回り7%に達する見込み(9月時点での政府発表)。経済好調の背景には農業の豊作などに加え、国外で働くルーマニア人数が増加し、その仕送りが増えていることも一因として指摘されている。

こうした中、政府はルーマニア人移民労働者の支援や移民先国との社会保障・協力に関する協定の交渉に当たる機関として、国外労働部(Departamentul pentru Munca in Strainatate:DMS)を9月に設置した。

増加を続ける国外労働者数

国外で働くルーマニア人の数は国内の雇用機会の不足(雇用者数が過去14年間で約400万人減少)に加え、国内に比べて高い賃金が誘因となって急速に増加してきた。1990年以降は国外労働のあっせんサービスを行う民間企業が多数設立された。政府はそれらの企業の委任認定制度を2000 年に導入した。これは2002年に廃止されたが、その後関係企業による雇用・職業あっせん認定業者協会(ACORD)が設立され、労働監査局の管理下にある。

2001年12月には労働移動事務所(OMFM)が設置された。OMFMはドイツ、スペイン、スイス、ルクセンブルグ、ハンガリーとの間で締結された2国間協定に基づき、国内の労働供給と国外の労働需要との調整機能を担ってきた。今年の4月には約9万8千人がその仲介により職を得ている。なおこのほかにも民間企業のあっせんによる移民労働者や不法移民もいるが、その数は確認できない。

DMSによる移民労働者の支援

2003年時点で、国外で働くルーマニア人の数は100万人という調査結果がある(都市・地域社会学センター)。一方、国際移住機関(IOM)が2003年9月に実施した調査ではその数は約1.7百万人と推計されている。

最新のDMSの推計によれば、国外で働くルーマニア人移民数は約200万人である。大部分はイタリア(80万)、スペイン(40万)、ポルトガル(4万以上)で働いているが、ギリシャ、イスラエル、アイルランド、ハンガリー、ドイツ、フランスにも相当数がいるという。

ルーマニア人移民労働者の増加に伴い、その人権侵害の事案がしばしば報告され、マスコミ、労働組合の関心事項となっている。こうした中、ルーマニア人移民の支援機関としてDMSが労働・社会的連帯・家庭省(MMSSF)内に設置され、従来のOMFMはその下部組織となった。9月時点での発表によれば、DMSはまずイタリア、スペイン、ドイツ、イスラエル、ハンガリーの各国と、ルーマニア人移民の社会保障・協力に関する協定を結ぶ計画である。また、在外ルーマニア大使館にレーバーアタッシェを任命し、各国で働くルーマニア人がからむ労働問題の解決に当たることとしている。

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