雇用情勢、収入ともに回復の兆し

カテゴリー:雇用・失業問題統計

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  • 国別労働トピック:2004年10月

ブラジル地理統計資料院(IBGE)は、2004年7月の失業率(6大首都圏のみで計算)が、11.3%となり、労働党政権のルーラ大統領が就任した2003年1月と同率になったと発表した。2004年6月比で0.5ポイント、前年同月比で1.6ポイントの低下となる。2004年は4月の13.1%を頂点にして毎月低下してきた。大統領は2004年下半期の経済、雇用見通しについて、楽観を更に強めている。2003年7月と比較すると、経済活動人口は2.1%増加していながら、就労者人口は4.3%増加と、新規雇用が増加していることを証明している。企画省の応用経済研究所では、失業率が10%台であることは非常に高率の失業率であるが、労働党政権が誕生する予想によって、2002年後半から経済危機を引起した初期の水準に戻ったと評価している。2002年後半は、過激な言動をとってきた労働党が政権をとる予想のために、国際融資がほぼ全面的にストップし、企業の投資計画は凍結され、2003年に経済危機を引起した。

就労者の平均実質収入は、2004年7月に前年同月より2%回復した。しかし2002年の水準には戻っていない。2002年7月に就労者の実質収入は1056.64レアル(約352ドル)(注1)となっていたものが、2004年7月は901.20レアル(約300ドル)に下がっている。2003年7月は883.47レアル(約294ドル)に下がって、前年同月より16.4%のマイナスとなっており、これと比較すれば、回復と言える。雇用回復は景気回復より遅れて起こることから、最近見られる毎月の失業率低下や、各種データを総合すると、国内経済は回復第2期に入ったと分析している。

6大首都圏の経済活動人口と失業率の推移(単位:1000人)
経済活動人口 就労者人口 失業者人口
2003年7月 21020 18338 2682
2004年6月 21459 18945 2514
2004年7月 21534 19124 2411

出所:ブラジル地理統計資料院(IBGE)

なお、中央労組の社会経済研究機関DIEESEの発表では、2004年6月に19.1%だったサンパウロ首都圏の失業率は、7月に18.5%となり、ルーラ大統領政権下で最低に下がった。ルーラ大統領が就任した2003年1月は18.6%でスタートしたが、2004年7月までの18ヵ月間は高率慢性失業状態となり、20.7%に達したことがある。2004年5月から失業率は低下に入り、経済活動回復とともに、就労者の週あたり労働時間も増加して、生産活動が活発化している事を証明した。就労者の平均収入をDIEESEは、2003年12月に1.017レアル(約334ドル)であったものが、2004年4月は955レアル(約318ドル)に下がったあと、回復に入り、6月は999レアル(約333ドル)と計算した。

労働市場のアナリスト達は、毎年下半期に入ると、年末商戦用の商品受注が増加するために、今後は当分失業率低下、就労者の平均収入増加が続くものと予想している。

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