不法ストの責任を問う損害賠償および資産仮差押訴訟をめぐる政労使の動き

カテゴリー:労使関係

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  • 国別労働トピック:2004年1月

経営側が不法ストの責任を追及する手段として労組および組合員に対する損害賠償および賃金・資産仮差押訴訟を起こす動きが急速に広がるなか、労組執行部の間でその行きすぎや不当性(労組弾圧の道具)を訴え、自殺を図るケースが相次ぎ、その対策をめぐって労政対立が再燃している。

30の人権団体がまとめた「2003年の労働基本権実態調査」によると、10月末まで労組および組合員に対して損害賠償および資産仮差押訴訟を起こした事業所は50カ所で、損害賠償請求額は651億5000万ウォン、資産仮差押額は844億1000万ウォンに上っている。そして民主労総が傘下労組を対象にまとめたところによると、10月末現在損害賠償および資産仮差押訴訟を起こした事業所は46カ所で、損害賠償請求額は560億1871万ウォン、資産仮差押額は790億9347万ウォンに上っている。

労働界は、斗山重工業労組組合員の焼身自殺を機に急浮上した損害賠償および資産仮差押訴訟への対策に及び腰で当初の約束を守らなかった政府の責任を厳しく問い、これ以上犠牲者を出さないためにも早急に対策を講じることを求め、対政府闘争に突入している。

これに対して、政府は「賃金・資産仮差押の際に労組の存立および労働者の最低生計費を保証するとともに、身元保証人の責任範囲を縮小する方向で民事執行法および身元保証法を改正する」案をまとめ、労使政委員会での話し合いを経て、11月末に最終案を発表することにしている。

しかし、経済界は依然として「不法ストに対する損害賠償および資産仮差押は、法に基づく正当な権利であり、唯一の対抗手段である。労働界の圧力に押されてこれを規制するのは望ましくない」という立場を堅持し、政府に慎重に対処するよう求めている。

労使政委員会で議論されている労使関係関連法制改革案にもこの損害賠償および資産仮差押訴訟への対策は盛り込まれているが、今、緊急を要する争点として急浮上しただけに、早急に結論を出さなければならなくなっており、その行方が注目されるところである。

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