ブラジルの景気に明るさ
ブラジル地理統計院(IBGE)によると、ブラジルの6大都市首都圏の失業者は、2003年8月に経済活動人口の13.0%に達した。このうち、6大都市の40%を占めるサンパウロ州の失業率は、8月に14.9%に達した。一方、労働組合の経済統計機関であるDIEESEが、サンパウロ州とともにサンパウロ首都圏で行った調査によると、失業率は、経済活動人口の実に20%に達している。これは、8月の統計としては1985年8月以降最高の数字であるという。
ブラジルの高等労働裁判所長官フランシスコ・ファウストは、IBGEの失業率の発表後、政府が社会部門の強化と景気振興政策を発展させることに鈍感であれば、混乱が一般化し、最終的には、都市は就業者と失業者の都市ゲリラの戦場となるであろうと警告している。元来、政治的な発言を慎むべき高等裁判所の長官から、こういう発言が飛び出したことは、長官が具体的な労働訴訟を通じて、よほど切迫したものを感じたからであろうと見られている。
しかし、これと反対の見方を支持する数字もある。サンパウロ州工業連盟(FIESP)の10月14日の発表によると、傘下の47部門のうち22部門が、9月には解雇の数より雇用の数の方が多く、全体としては、0.29%の雇用増となった。最近5カ月は、連続して雇用が減少していたので、これは朗報として受け取られている。雇用増が著しい部門は、自動車のタイヤとチューブ、靴、冷凍食品、印刷、オリーブ、製油、肥料などである。
この点をとらえ、FIESPは、好調である輸出関連産業と食品の分野で雇用の増加が発生していることから、これは、毎年、年末に起こる季節的なものと輸出増のせいであると冷静な判断をしており、景気の好転の有無は、来年の初めの動向を見なくては分からないとしている。
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