ホーチミン市の雇用創出の試み

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2003年9月

ホーチミン市の雇用創出・職業訓練計画によれば、今後3年間にわたり、毎年20万人以上の人々が新規に雇用される。2003年には約21万人が雇用され、現在6.52%の失業率が2003年末までに6.4%まで低下することを期待している。

ホーチミン市労働・傷病兵・社会問題局(DoLISA)は、約1万5000人を海外に労働者派遣し、約16万人がホーチミン市の製造業、サービス業に雇用されることを目標にしている。
この目的を達成するため、ホーチミン市は、都市部における職業訓練、農村部における産業構造の転換、貧困者の自営業開業を支援するための少額融資、海外労働者派遣会社への貸付などを促進させようとしている。

ホーチミン市が最近、使用者を対象に行った調査によれば、外国投資企業を含む民間企業部門が、毎年平均約9万人の雇用を創出することが見込まれる。このほか毎年、国有企業部門で約3万人、工業団地および輸出加工区の企業で約2万人、農業部門で約5万人の雇用創出を見込んでいる。

ホーチミン市では、生産年齢人口の3分の1近くが、季節労働ではない安定した雇用を確保できていない。また、毎年、同約20%が、国有企業部門を始めとする企業のリストラによって失業している。失業者のうち20%だけが最近、学校を卒業した人々である。失業者の多くは、以前に労働経験のある人々である。

国有企業改革は遅れ気味

全国で進められている国有企業改革では、2003年に国有企業1515社が株式化(民営化)、売却、破産、所有権移譲実施などの対象となっている。しかし、これらの会社のうち、1月から5月までに何らかの措置がとられ、国有企業としては閉鎖した会社は165社に過ぎない。遅延の理由として、中央、地方政府関係者、大企業経営者は、株式競売や、国有企業移譲時の価格設定が、十分に整備されていない、ルールが曖昧な制度の中で実施されている点が大きな障害になっていると指摘している。また、離職する労働者に対する政策的な金銭支援などが不十分であることから、国有企業は離職者への対応に苦慮している。

より重要でない問題として、国有企業の経営陣に既得権益を失うことへの抵抗がある場合もある。政府は、国有企業改革に抵抗を示す経営陣を解雇するなど、より厳しい手段を取ることを計画している。政府は2005年までに2600社を改革する計画で、2003年を改革躍進の年と位置づけている。

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