第1四半期の失業率4.5%、解雇者の半数がホワイトカラー

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2003年9月

人材開発省が6月に発表した「第1四半期・労働市場報告」によると、3月末の失業率は4.5%(季節調整済み)で、2002年12月末の4.2%を上回った。同省は、新型肺炎SARSの影響次第では、今年後半には5.5%以上にまで悪化することもありうると見ている。

まず雇用者数は4089人減って、7期連続の減少となった。とくに建設部門が顕著で、6453人減った。産出高が拡大したにもかかわらず製造部門も2592人の減少となった。うち2114人が電子製品、1937人が輸送機器で、1473人増加した石油化学の伸びを相殺した。これに対しサービス部門は全体で5111人増加した。

失業者数は、2002年12月末の8万1500人から3月末時点の8万9400人へ増加した。このうち求職期間が6カ月を超える失業者は約33%(2万4900人)で、1年前の23%(1万6500人)から10ポイントも上昇し、長期失業率(失業期間が25週間を超える者が労働力全体に占める割合)は、1年前の1%から1.4%に上昇した。また失業期間の平均も12.1週から13.7週に伸びている。

第1四半期の解雇者数は4411人で、前期比で26%減少した。製造部門で解雇者数が半減したことが歯止めとなった。解雇者全体の52%がサービス部門で、とくに卸売り・小売り(18%)、運輸・通信(13%)で目立った。製造業は44%。

解雇者を職種別では、専門職、管理職、技術者、役員が42.9%、事務・販売・サービス労働者が25.6%、生産・輸送・清掃労働者が31.5%となっており、半数以上をホワイトカラーが占めている状況だ。

第1四半期にはまだSARSの影響が本格的に現れていないことを踏まえて人材開発省は、雇用情勢は今後一段と悪化する恐れがあるとの見方をしている。

なお、3月末時点の民間部門の求人数は2002年12月末と比較して6.1%減って1万2121人となり、過去最低を記録している。

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