タイにおけるジェンダー・ギャップ
ILOが発表した報告書によると、タイの女性労働力率は他のアジア諸国と比較すると高いものの、男性と比較すると依然として低いと報告された。
経済危機以降、ジェンダー・ギャップは改善しつつあるが依然として残っている。
報告書では、1997年の経済危機により新しい職業スキルとして、特にコンピューター・プログラミング、調理技術を求められたとされている。また、2000年には、約48%の女性がコンピューター・プログラミング、システムアナリストに職業を変えたことにより、この業界での男性との就業率の差を縮めたとしている。経済危機以前に女性が受けていた教育訓練は、性差に基づくもので、例えば、子供や高齢者の介護、マッサージ、オフィス事務、ホテルメードサービスなどであったと述べられている。労働力率が1990年の76.3%から2000年に64.2%に低下したのは、進学率の上昇や経済危機後の解雇によるものであるとされている。
さらに報告書では、内職業の問題(低賃金・不規則就労)について、社会保障の対象外になっていることについても言及しており、政府がこうした問題の解決に取り組もうとしているとしている。
また最近の傾向として、HIV感染者に対する差別が表面化していると述べている。そして、報告書では、人権に基づいたアプローチがあらゆる差別の撤廃、自由の達成に不可欠であると結んでいる。
国 | 1990年 | 2000年 | 変化率 | 男女間格差 | |
1990年 | 2000年 | ||||
香港 | 46.6 | 48.5 | 1.9 | -32.3 | -27.0 |
韓国 | 47.0 | 47.4 | 0.4 | -27.0 | -27.0 |
バングラディシュ | 65.4 | 55.9 | -9.5 | -22.6 | -32.9 |
パキスタン | 11.3 | 15.2 | 3.9 | -73.6 | -67.2 |
インドネシア | 44.6 | 51.5 | 6.9 | -38.1 | -33.1 |
マレーシア | 45.2 | 44.7 | -0.5 | -36.7 | -38.1 |
フィリピン | 47.5 | 50.0 | 2.5 | -34.3 | -31.8 |
シンガポール | 50.3 | 51.3 | 1.0 | -28.9 | -26.2 |
タイ | 76.3 | 64.2 | -12.1 | -11.4 | -16.1 |
出所:ILO、Key Indicator of Labour Market 2001-2002
1990年 | 2000年 | 変化率 | |||||
女性 | 男性 | 男女差 | 女性 | 男性 | 男女差 | 1990~2000 | |
中国 | 1.2 | 0.9 | 0.3 | ||||
香港 | 1.3 | 1.3 | 0 | 4.0 | 5.0 | -1.1 | -1.1 |
韓国 | 1.8 | 2.9 | -0.9 | 5.0 | 7.1 | -2.0 | -1.1 |
バングラデシュ | 1.9 | 2.0 | -0.1 | 2.3 | 2.7 | -0.4 | -0.3 |
パキスタン | 0.9 | 3.4 | 12.3 | 14.9 | 4.2 | 10.7 | -1.6 |
フィリピン | 9.8 | 7.1 | 2.7 | 9.9 | 10.3 | -0.4 | -3.1 |
シンガポール | 1.3 | 1.9 | -0.6 | 4.6 | 4.5 | 0.1 | 0.7 |
タイ | 2.4 | 2.1 | 0.3 | 3.0 | 3.0 | 0 | -0.3 |
出所:ILO, Key Indicator of Labour Market 2001-2002
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