タイにおけるジェンダー・ギャップ

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年8月

ILOが発表した報告書によると、タイの女性労働力率は他のアジア諸国と比較すると高いものの、男性と比較すると依然として低いと報告された。

経済危機以降、ジェンダー・ギャップは改善しつつあるが依然として残っている。

報告書では、1997年の経済危機により新しい職業スキルとして、特にコンピューター・プログラミング、調理技術を求められたとされている。また、2000年には、約48%の女性がコンピューター・プログラミング、システムアナリストに職業を変えたことにより、この業界での男性との就業率の差を縮めたとしている。経済危機以前に女性が受けていた教育訓練は、性差に基づくもので、例えば、子供や高齢者の介護、マッサージ、オフィス事務、ホテルメードサービスなどであったと述べられている。労働力率が1990年の76.3%から2000年に64.2%に低下したのは、進学率の上昇や経済危機後の解雇によるものであるとされている。

さらに報告書では、内職業の問題(低賃金・不規則就労)について、社会保障の対象外になっていることについても言及しており、政府がこうした問題の解決に取り組もうとしているとしている。

また最近の傾向として、HIV感染者に対する差別が表面化していると述べている。そして、報告書では、人権に基づいたアプローチがあらゆる差別の撤廃、自由の達成に不可欠であると結んでいる。

表1:女性労働力率の変化
1990年 2000年 変化率 男女間格差
1990年 2000年
香港 46.6 48.5 1.9 -32.3 -27.0
韓国 47.0 47.4 0.4 -27.0 -27.0
バングラディシュ 65.4 55.9 -9.5 -22.6 -32.9
パキスタン 11.3 15.2 3.9 -73.6 -67.2
インドネシア 44.6 51.5 6.9 -38.1 -33.1
マレーシア 45.2 44.7 -0.5 -36.7 -38.1
フィリピン 47.5 50.0 2.5 -34.3 -31.8
シンガポール 50.3 51.3 1.0 -28.9 -26.2
タイ 76.3 64.2 -12.1 -11.4 -16.1

出所:ILO、Key Indicator of Labour Market 2001-2002

表2:失業率の男女間格差
  1990年 2000年 変化率
女性 男性 男女差 女性 男性 男女差 1990~2000
中国 1.2 0.9 0.3        
香港 1.3 1.3 0 4.0 5.0 -1.1 -1.1
韓国 1.8 2.9 -0.9 5.0 7.1 -2.0 -1.1
バングラデシュ 1.9 2.0 -0.1 2.3 2.7 -0.4 -0.3
パキスタン 0.9 3.4 12.3 14.9 4.2 10.7 -1.6
フィリピン 9.8 7.1 2.7 9.9 10.3 -0.4 -3.1
シンガポール 1.3 1.9 -0.6 4.6 4.5 0.1 0.7
タイ 2.4 2.1 0.3 3.0 3.0 0 -0.3

出所:ILO, Key Indicator of Labour Market 2001-2002

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