失業保険、政府負担率0.25%に
2004年1月1日から開始される失業保険制度の政府負担率は、6月17日の閣議で0.25%とすることで決着した。労使はそれぞれ0.5%を負担する。当初政府の負担率も、労使と同じ0.5%とされていたが、財務省が難色を示したため、0.25%に削減された。
負担率を巡っての論争
本年4月28日の閣議で2004年1月1日からの保険料の徴収についての勅令案は認可されていたが、負担率について、労組側は、政府も0.5%負担するか、あるいは、政労使三者とも0.25%に引き下げるべきであると主張、また使用者側は0.1%に引き下げるべきであるなどと主張していた。最終的には、労使はそれぞれ0.5%ずつ、政府は0.25%を負担することになった。
社会保障制度導入の経緯
タイでは、公務員等については、「公務員医療保険制度」「国営企業共済年金制度」等により早くから社会保障制度が適用されてきた。しかし、民間企業に公務員に近い社会保障制度の枠組みが適用されたのは、「1990年社会保障法」が成立し、その実施が決まった翌91年3月からである。「社会保障基金制度」は、当初の計画では、(1)障害(別途制度が存在する労災補償を除く)、(2)死亡手当、(3)医療手当、(4)出産手当、(5)児童手当、(6)老齢年金(7)失業保険の7つのパッケージとして、その一括実施が計画されていた。しかし、負担が重すぎるという使用者団体の反対もあって、91年に実施されたのは、(1)~(4)までの4つのみであり、児童手当と老齢年金は1998年9月から実施された。このなかで、1997年の経済危機後の財政逼迫などの要因により、失業手当のみ実施が見送られてきた。今回の失業保険制度実施により、「1990年社会保障法」の7つのパッケージは全て実施されることになる。
失業保険制度の概要
失業保険給付の支給対象者は、1.過去15カ月間に6カ月以上保険料を納付した者、2.懲戒的な解雇以外の非自発的離職者、3.職業安定所に登録している者、これら全てに該当する者とされる。給付内容としては、解雇による失業者は、前職月当たり賃金(現行上限1万5000バーツ)の50%を180日間支給され、解雇以外の非自発的離職者は、前職月当たり賃金の30%を90日間支給される。
項目 | 被用者 | 使用者 | 政府 |
---|---|---|---|
障害、死亡/医療、出産 | 1.5 | 1.5 | 1.5 |
児童手当/老齢年金 | 3.0 | 3.0 | 1.0 |
失業保険 | 0.5 | 0.5 | 0.25 |
合計 | 5.0 | 5.0 | 2.75 |
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