5カ月続いた失業増が、4月は一服

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年8月

5月30日に発表された社会問題省の統計によると、4月の失業者数は0.1%の増加にとどまり、237万300人となった(+2800人)。ILO基準に基づく失業率は9.3%のまま横這いだった。

この比較的穏やかな数字は大幅増が5カ月続いた後に記録された。2001年5月以降増加傾向にある失業は2002年の秋に2カ月の休みがあったが、それ以降、雇用調整計画が急激に増えるとともに、経営状態の悪い中小企業では雇用調整計画以外のポスト削減が相次ぎ、失業曲線は上昇を続けてきた。とくに3月は求職者が2万4500人増(+1%)と大いに心配される数字が発表されていた。

政府は失業の低下を退職年金改革推進の拠り所にしている。退職年金方針決定会議による「政策断行」のシナリオは、今日9.3%の失業率が2010年に4.5%へ低下するという仮説に基づいている。失業の低下が実現すれば、失業拠出を年金拠出へ振り向けることで、2020年に退職年金一般制度の財政的均衡を保証するために行動の余地を広げることが可能になる。そして、シラク大統領の選挙公約を守り、義務的徴収額を増やすことなく年金改革を実施できる。

ラファラン首相は5月28日にテレビ出演した際に、「政府は成長のリズムを取り戻すために努力しているが、2008年になるまで失業率=4.5%の仮定を有効にすることはできない」と認めた。しかし、フィヨン社会問題相はその前日に、「秋には失業の増加傾向が停止し、来年初頭から低下が始まる」ともう少し楽観的な見通しを語っていた。

4月に記録した失業の減速は、とりわけ若年者と高齢労働者の失業の低下(それぞれ-0.4%)に負うところが大きい。25歳未満では、男性はほぼ横這いだったのに対し、女性の失業が0.9%も低下した。一方、高齢失業者(55歳以上)の数は4月に減少したものの、年間では6.1%の増加を記録し、依然として高齢労働者が労働力の調整変数であることを示している。退職年金改革は労働生活期間の延長をともなうが、社会問題省はこの点について使用者の責任を訴え、高齢労働者が職場にとどまることができるような措置を求めている。

ところで、相変わらず深刻に懸念されているのが長期失業である。確かに、4月は増加が緩慢だったが(前月の+1.3%に対し、+0.2%)、1年以上仕事を探し続けている長期失業者の数は年間で7%も増え、4月末で69万8200人に達しているのだ。失業の大幅削減というシナリオも、その核とも言うべき長期失業に有効な対策を見つけられない限り、なかなか実現は難しそうだ。

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