就業者数の増加が続く

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年8月

政府統計局(ONS)の発表によるとイギリスの2003年2~4月の就業者数は2786万6000人で、1984年以降最高を記録し、2002年11月~2003年1月期より5万1000人、過去1年間で24万2000人増加している。就業率も74.6%と高水準となっている。

経済全般では1%をきる低成長にもかかわらず、労働市場は堅調に推移している。

失業者数の増加-ただし求人数は高水準を維持-

しかし2003年5月は失業保険申請者数が9700人増加して95万800人となった。2003年2~4月期のILO基準による失業者数も3万6000人増加し、149万5000人となっており、ここにきて失業者数の増加がはっきりとあらわれた。これに対して政府は、失業率(失業保険申請者ベース)は3.1%で、過去17カ月間にわたり同水準を維持しており、2003年2~4月期のILO基準でみた失業率も5.1%と、2001年以降ほぼ同水準で推移していることから、失業状況は概して変化がないとしている。さらに、ジョブセンター(職業紹介所)への求人者数も高い水準を保っていることから、労働市場は依然として堅調であるとしている。

就業者数増加-パートタイムの増加、フルタイムの減少-

最近の就業者数の増加は、主としてパートタイムの増加によるものである。2003年2~4月期の男子フルタイムは1348万8000人で、2002年11月~2003年2月期から2万1000人減少、女子は4万7000人減少し717万4100人となった一方で、パートタイムは男女あわせて12万人増加して720万500人に達し、フルタイムの減少と対称的にパートタイムの増加が著しく、最近の就業者数の増加は完全にパートタイムの増加によっている。パートタイムの増加とフルタイムの減少でイギリスの総労働時間は減少している。また所得の伸びが緩やかであることから、将来の消費の伸びが緩やかになるかもしれないことを指摘する向きもある。

産業部門ごとにより明暗

雇用状況については、産業部門により明暗がでている。特に製造業部門では雇用の減少が続いており、2003年2~4月期では前年同期比マイナス3.7%、13万4000職が減少し、353万4000職となった。製造業の人員削減は続いており、5月には鉄鋼業のコーラスが1550人、化学のICIが700人の削減を発表している。一方で、デパートのセルフリッジが1000人の雇用増を発表するなど、小売業、ホテル、レストラン業及び公共部門は雇用の増加に貢献している。

表1:2001年2月~2003年4月 の失業率(単位:千人)
  労働力人口(千人) 就業者数(千人) 就業率(%) 失業者数(ILO基準) 失業率(ILO基準)(%)
2001年2~4月 28,919 27,647 74.5 1,451 5
2002年5~7月 29,130 27,625 74.4 1,505 5.2
2002年8~10月 29,116 27,653 74.3 1,513 5.2
2002年7~9月 29,290 27,759 74.5 1,532 5.2
2002年11~03年1月 29,274 27,815 74.6 1,459 5.0
2003年2~4月 29,361 27,866 74.6 1,495 5.1

出所:政府統計局

表2:失業保険申請者と失業率
  失業保険申請者数(千人) 失業率(失業保険申請者ベース)(%)
2002年5月 950.5 3.1
6月 951.8 3.1
7月 948.5 3.1
8月 942.7 3.1
9月 944.6 3.1
10月 942.2 3.1
11月 938.6 3.1
12月 935.1 3.1
2003年1月 932.4 3.1
2月 938.1 3.1
3月 939.0 3.1
4月 941.1 3.1
5月 950.8 3.1

出所:政府統計局

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