不法外国人労働者問題で新戦略

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年7月

タクシン首相は、4月30日、バンコクで開催されたSARS対策会議の合間にラオス、カンボジア、ミャンマーとの間で不法外国人労働者問題の共通戦略について合意がなされたと発言した。

この戦略の目的は、何百万人もの不法移民の就労をタイ国内で認めるということではなく、近隣のそれぞれの国の国内で仕事を生み出し、収入を得られるようにすることであると語った。

生産拠点の移転で不法外国人労働者問題を解決

すなわち、タイでは人件費等のコスト高で価格競争力の劣る分野の産業をラオス、カンボジア、ミャンマーへの生産移転を促進することによって、お互いにパートナーとして便益を共有しようというものである。

カンボジアのフンセン首相は、近隣諸国の繁栄は、タイにとっても繁栄であり、カンボジアとタイとの間の不法移民問題も解消するだろうとして、タクシン首相のこの新戦略を支援すると述べた。

この新戦略を具体化するため、4カ国は、7月頃にチェンマイで外相会議を開催する予定である。

タイには、毎年ラオス、ミャンマー、カンボジアから百万人以上の不法移民が流入している。今年は、40万9,339人に就労許可が下りている。残りの不法移民については様々な治安問題、医療負担、麻薬といった問題等で政府支出の増加などを引き起こしていることから、取り締まりの強化を行っているが、有効な成果が得られていない。

2002年10月、ラオスとの間では、不法な出稼ぎ労働者を阻止する目的で、出稼ぎのルートをラオス当局の機関を通してのみ可能にするという二国間協定が交わされている。カンボジアとの合同閣議が予定されている本年5月31日には、同種の協定が結ばれる予定であり、ミャンマーとも同種の協定が交わされる予定である。

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