安全衛生に関するイタリアの法律に対して、欧州裁判所が警告

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年7月

欧州裁判所は、職場における安全衛生の最低要件を定めたEU指令(89/655および95/63)を適切に受容していないとの理由で、1994年法律626号に対し指令違反の判定を下した。同裁判所は、とくに、1.危険な機械の起動の際に作動しなければならない警報、2.起動の際の制御装置、3.停止の際の制御装置および4.保護システムに由来する付加的な危険の4点について欠陥を指摘している。

イタリアが法律626号の欠陥を指摘されるのは、これが初めてではない。欧州裁判所は、2001年にも、別の理由により同法の欠陥を指摘していたからである。今回の欧州裁判所の判断により、イタリアは、同法を判決に即して直ちに修正しなければならなくなった。

この判決で、欧州裁判所は、第1に、指令の規定が、「規格に即した(convenuto)」警報により、作動する機械の側にいる労働者および従業員に警報を発すると定めている点を重視している。イタリアの法律では、この「規格に即した」という言葉がない。欧州裁判所は、実効的であるためには、予め定められた水準により認定された警報であることが重要と考えたわけである。第2に、裁判所は、起動が従業員の自発的な行動により生じることに着目し、法律626号が、「制御装置は、偶発的な作動を回避するために設置される」としか定めていないことを不十分としている。

第3に、法律626号が、「作業配置に関しては、現存するリスクに応じて、全てのまたは一部の設備を停止するための制御装置を、起動よりも停止を優先して設置する」ことを義務として定めていない点を指摘している。

最後に、欧州裁判所は、法律626号では、保護および防御システムが、付加的な危険を発生しないこと、逸脱されたり実効性に欠けたりしないこと、そして作業サイクルを制限することなく、危険な場所から十分な距離を保って設置されることを確保するという義務が受け入れられていないとしている。

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