貧困者支援政策、低所得者向け住宅供給開始

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年6月

バンコク中心で低所得者(注1)と日雇い労働者を対象にした住宅供給プログラムが開始された。「コンタイ(タイ人)へのGHB住宅ローン」と呼ばれるこのプログラムでは政府住宅銀行(GHB)が貸し手となって、これまでローンの対象外であった労働者層を対象としている。

貸与総額は約100億バーツ

GHBでは2003年1~2月に第1回目の募集をしたところ、総額80億バーツのローンの応募があったという。今回の第2回目では貸与額を100億バーツに拡大し、さらに希望者を募る。場所はムアン・トン・タニの住宅地で、1万ユニットのコンドミニアムを建設する予定。GHBの関係者によれば、これまでは低所得者層の労働者からの住宅ローンの申し出があっても、基準外という理由で応募を断ってきたという。

ローンの概要は、1人あたり上限110万バーツ、返済期間は30年、初年度の利子は3.75%、2年目は4.75%、3年目は5.75%、4年目以降は0.75%ずつ利子が上昇する仕組み。

ソムキット副大臣によると、2007年までに60万戸のコンドミニアムを建設予定であるという。

都市部の貧困層の多くは農村の出稼ぎ労働者

バンコク周辺の低所得者層や日雇い労働者の多くは、東北部や北部の貧しい農村からの出稼ぎ労働者達である。現地紙に報告された国家経済社会開発局(NESDB)の「貧困マップ」によると、全国の1万6500の農村と4600の行政村が貧困状態にあるとされ、そのうち39%が東北部、35%が北部にある。「貧困」村が最も多い県は東北部のブリラム県、次いで北部のチェンライ県、そして東北部のナコン・ラチャシマ県。

ここで用いられる「貧困」とは、所得だけではなく、教育や健康・衛生、天然資源へのアクセスなども考慮されている。

農村と都市の所得格差がバンコク周辺への出稼ぎ労働を引き起こし、日雇い労働者層、低所得者層を形成していると考えられるため、都市部での支援対策だけでなく、農村への支援も不可欠となっている。

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