宝石産業での成長と雇用創出の可能性高い

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年5月

タイ宝石・宝飾協会は2月21日、宝石・宝飾製品の輸出好調から、2007年までに2千億バーツの売上と、25%の雇用拡大が期待できるとの見通しを明らかにした。政府も、同産業をタイの基幹産業として位置付け、技術指導などの支援を行っていくことを明らかにした。

輸出の好調な宝石産業

宝石・宝飾協会によると、2003年の売上高は1000億バーツを超えるとの見通しで、2006-07年には倍の2000億バーツになると予想されている。世界の景気回復と共に、同産業の売上も増加している。

タイにとっての最大の輸出先はアメリカで、次いでイスラエル、ベルギーとなっており、日本は第5位。タイは、現在、国内での宝石の産出は希少になっているもののかつて北部でルビーが産出したことから、宝石産業に長い歴史を持つ。隣国ミャンマー、カンボジアなどから原石を輸入して、国内でデザイン・加工を行い、輸出している。

宝石・宝飾品の主要

  2000年 2001年 2002年
1.米国 507.94 574.52 548.88
2.イスラエル 278.81 267.35 349.69
3.ベルギー 219.74 208.61 218.33
4.スイス 67.19 61.36 213.37
5.日本 122.12 130.51 121.44
6.香港 77.02 108.23 107.34
7.英国 68.97 84.49 102.35
8.ドイツ 95.64 83.33 90.24
9.オーストラリア 18.83 21.86 83.13
10.フランス 59.65 60.01 55.33
全輸出額 1741.85 1837.15 2169.48

タイ宝石・宝飾品業者協会まとめ、全額は百万米ドル

政府の支援政策

政府は、今後5年間で6000人の高度技術を持った熟練労働者を育成するための職業訓練所を設立する方針。同産業の技術水準を飛躍的に高めることにより、タイの宝石産業を高付加価値産業へと転換させることが狙い。

この職業訓練校へは、労働者の技術の向上、製品の質の向上、国際市場での競争力の強化を目標に1億6000万バーツの政府支援が投入される。

現在宝石産業では、国際市場シェアの60%をイタリアが占めている。タイは10%前後を推移しており、今後の技術者養成が、国際市場におけるシェア拡大のための重要な要素と見られている。

同産業には800社以上の企業があり約120万人の労働者が従事し、年間930億バーツの輸出利益をもたらしている。政府としては、今後宝石市場においてタイを中心国(ハブ)としたい意向があるようだ。

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