失業保険、10月より開始見込み

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年5月

労働省社会保障基金事務局の発表によると、失業基金開始のための勅令が10月までに施行される見通しである。1997年の経済危機以降、各団体から制度の実施が望まれていたが、ようやく現実化される見込みとなった。

失業保険実施の背景

タイ最大の社会保障基金は、1990年の社会保障法に基づいて、1991年から従業員20名以上の企業・事業所を対象に、積み立てが開始された。この法律に基づいて、従業員は死亡手当、医療手当、労災手当、出産手当、医療手当を受けられることとなった(注1)。当初の予定では、1991年の施行当初から失業保険も盛り込むこととなっていたが、1997年の経済危機以降、それに伴う財政逼迫などの諸要因により、見送りになっていた。

そのような中、タクシン政権は2002年7月の閣議で失業保険の試験的導入を決定した。

保険制度の内容

保険の拠出金として、政府は従業員月額賃金の0.5%、労使は1%を負担する。保険料の支払いは2004年1月から開始する予定。失業保険を社会保障基金から拠出することはすでに決定していたが、政府は2003~2006年の3年間限定拠出とする意向を示している。

失業手当の受給対象者は、保険料を最低6カ月以上納め、かつ労働省の職業安定所に登録した者で、解雇された労働者だけではなく、自己都合による退職者も含まれる。支給額は、前者が賃金の50%を180日間、後者は賃金の50%を90日もしくは30%を180日間のいずれかを選択する方式となっている。但し、解雇の理由が犯罪行為などであった場合は、受給資格は喪失する。

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