2003年1月の失業者数462万人

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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連邦雇用庁が2003年2月5日に発表した労働市場統計によると、ドイツの1月の失業者数は予測を大きく超えて増加し、462万3000人に達し、1月としては過去5年間で最悪の失業者数を記録した。

統計によると、ドイツの失業者数は前月比で39万8000人増加しており(前年同月比では33万3200人増加)、失業率は2002年12月の10.1%から11.1%に上昇している(前年同月比では0.7ポイント上昇)。地域別では、西独地域で、失業者数は前月比で11万8000人増加して289万8000人、失業率は8.8%、東独地域で、失業者数は前月比で28万増加して172万5000人、失業率は19.5%で、東独地域での失業の増大が特に顕著であり、両独地域間の失業の格差も依然として縮まっていない。労働問題専門家も1月の失業率の悪化を予測してはいたが、その予測は概ね450万人程度で、実際の統計はこの予測を上回った。

この失業の悪化で、1月の失業者数としては、ドイツ再統一以後3番目の多さとなっただけでなく、シュレーダー政権が1998年10月に成立して以来最大数を記録した。さらに前月比での1月の失業者数の増加としては、1992年以来3番目の大きさとなった。

連邦雇用庁と銀行エコノミストの評価によれば、失業の急激な増大の主な原因は景気の低迷であるが、これは2002年第4四半期の前月比での失業者数の増加(季節調整値)が平均3万7000人だったのに、2003年1月は6万2000人だったことからも伺われる。この他、今冬の厳しい寒さとその結果が1月の統計に現れる年末の解雇も、1月の失業統計の悪化に寄与したとされている。

このような労働市場の悪化は、必然的に公共職業安定所の支出を増大させることになり、職安を統括する連邦雇用庁のゲルスター理事長が、同庁の独立性保持のために、2003年度は連邦政府の補助金の増加なしにやっていく確固たる方針を示しているにもかかわらず、これが困難に直面する可能性もある。

このような労働市場統計の急激な悪化を受けて、シュレーダー首相は、使用者が計測可能な人数の雇用を保証するならば、クレーメント経済労働相が現在提言している解約告知保護法の緩和(I参照)について議論することになろうと発言しているが、ドイツ政治に課せられた労働市場の改革は、この発表された1月の統計を見ても、いよいよ急務になっている。

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