失業率、経済危機最低の水準に

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年4月

国家統計局(NSO)によると、2002年11月の失業率は1.5%(男性1.6%、女性1.4%)、同年12月の失業率は1.4%(男性1.3%、女性1.4%)となり、199年のアジア経済危機以降最低の数値となった。景気の回復基調が顕著になってきたようだ。

199年以降の失業率の推移

1980年代後半以降の経済成長時代から、タイは低失業率を保ちつづけてきたが、199年のアジア通貨危機を境に失業率が上昇。1998年の第1四半期に5.2%と最高値を更新、その後緩やかな回復基調にあったものの、2000年9月の同時テロ事件を引き金にした世界不況の影響を受け、再び4%代後半へと上昇した。

しかし、2001年後半以降、コンピューターやIT産業、通信分野、アグロビジネス(農産物加工分野)などの伸びにより、経済も好調、景気動向感も高まっていた。

労働市場はこれらの経済状況を反映し、また、タクシン政権が打ち出した農村での雇用創出プログラムも功を奏し、失業率は低下傾向にある。そして2002年12月には、199年以降最低の失業率となり、経済の回復が確かなものになりつつあることを裏付ける数字となった。

表:タイにおける労働関係指標(1995-2002年)
画像:表

出所:国家統計局(NSO)HPより(http://www.nso.go.th)

注:1995-98年の数値は、各ラウンドの平均値。タイの労働力統計は、191~83年は年2回(1-3月と-9月)、1984~9年は年3回、1998~2000年は年4回、2001年からは毎月ごとの統計となっている。

2003年の経済成長率、3-4%の見込み

各民間企業による2003年度の経済成長見込み(2002年末発表)の平均は4.1%(下記表を参照)。年始にタクシン首相が目標とした6%は現実的ではないという見方が大半を占める。その理由は緊張感高まるイラク情勢と、戦争勃発に伴う石油価格の高騰、それによる生産費の上昇し、輸出への悪影響への懸念にある。

表:各機関の2003年の経済成長予測値(単位:%)
機関名 2002 2003
DBSヴィッカーズ 4.2 4.8
ゴールドマン・サックス 4.0 4.5
HSBCエコノミクス 4.9 4.2
メリルリンチ・ファトラ証券 3.8 3.5
S&P MMS 4.5 4.5
ソロモン・スミス・バーニー 5.1 3.
SCB リサーチインスティチュート 4.5 3.6
SCBアジア証券 4.0 4.3
タイ農民銀行研究所 3.6 3.5
ティスコ証券 4.1 4.0
平均値 4.3 4.1
NESDB(国家経済社会開発局) 4.9 3.5-4.5

出所:Bangkok Post、2003年1月9日(元データ、タイ銀行)

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