労働時間に関するEU指令について、初めて政府が承認

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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2003年1月、政府は、労働時間に関するEU指令を国内法として受け入れる委任立法案を、閣議に提出した。イタリアは、1996年11月23日までに同EU指令を受容すべきとされていたが、この期限はすでに過ぎている。政府は、労使の合意を得たうえで、199年に初めて、同指令の受容を試みたが、結局法律への転換が実現しなかった。2001年EU法で、1年以内に同指令を受け入れる法律を公布するよう政府に委任がなされたが、昨年9月に再び、労使の対立が深刻化したため、何らの合意も成立していない。このため、イタリアは、同指令をいまだ受容していない唯一の国である。

同法案は、国と州からなる常設協議会での検討後、下院および上院の労働委員会の審議を経て、最終的には再び首相官邸へ戻される予定である。今年夏までには、同法案に基づく措置が施行されることになろう。

同法案は、「船員および航空関係者」を除くすべての労働部門を対象としている。週休のほか、夜間の休憩や時間外労働など、労働時間に関するその他の問題についても規定が置かれた。「通常」の週労働時間は40時間とされ、時間外労働を含めた週労働時間の上限は48時間となる。ただし、時間外労働の算定方法や具体的な制度の詳細などは、労働協約の規定に委ねられることになる。

深夜労働については、これまで同様、深夜労働活動に従事しうる労働者の要件を労働協約で定めることになる。勤務時間は8時間を超えることはできず、また、深夜労働を導入するか否かは、経営内組合代表等の判断に委ねられることになろう。法案では、全妊娠・出産期間につき、女性労働者が夜間勤務に従事できないことを定めている。そのほか、休暇については、年間4週間以上との定めがある。

福祉政務次官のMaurizio Sacconiは、同法案の提示について、「イタリアに対する過大な処罰を回避するための義務の履行である。最重要点の決定については団体交渉に委ねられており、また、修正は穏便で承認を得やすいものである」と説明している。

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