職場の安全・衛生水準向上のための新基準作成

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年3月

内閣の法律調査委員会は1月3日、職場の安全・衛生に関する新基準を盛り込んだ草案を作成し、内閣の承認を待つのみであることを明らかにした。労働省では、職場での安全と衛生・医療面での水準向上を目指す考え。

新基準の内容

草案では、全ての事業所において、職場の疾患に経験を有する医師または看護士を必ず常駐させ、職員のケアにあたることを義務付けている。さらに、職員の健康診断や病歴などを保管し、年1回の健康診断や、職員からの衛生・医療・安全に関する要望に応えていくことも規定されている。

草案は、化学物質、環境汚染物質、騒音・ラジウム・鉱物公害といった危険から労働者を保護することを目的とした「労働保護法」に沿って策定されている。労働省の調査によると、タイでは労災の15%は、労働者に責任がある事故、残りの85%は経営者の責任によるものだという。

さらに、従来は対象外とされていた農業部門や自営業者、児童労働の保護も対象となる。農業部門の労働者は、使用者に対して休暇を取る権利や、清潔な水を飲む権利、住居を供給される権利などが保証されることになる。

タイでは、13歳未満の就労は禁じられており、13歳以上15歳未満の児童は、学校授業時間外のパートタイムの就労のみが許可されている。労働力人口は15歳以上が対象となっている。

在宅作業員(内職)を雇用する使用者または下請け業者は、従業員を雇用した30日以内に雇用登録することが義務付けられた。

さらに、雇用契約は職種、給与を明らかにすることを基本としており、賃金は、仕事の終了時から15日以内に支払わなければならない旨、定めている。爆発物や火薬、危険な化学物質を扱う危険な職種は、在宅で行ってはならないとの規制も加えられた。

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