ジャカルタ市内への人口流入抑制政策
ジャカルタでは、ラマダン明けの祭りであるイドゥル・フィツリ後、地方から大量の労働者が流入してくる。ジャカルタで出稼ぎをしていた労働者が祭りで帰省した後、親戚友人を引き連れて再び都市に戻るためである。
政府は、増え続けるジャカルタの人口と高失業率を解決するため、新たな政策と地方分散の移住政策に力を入れていくことを明らかにした。
IDカードの規制は人口移動には効果薄
イドゥル・フィツリ後にジャカルタへ移動してくる労働者は毎年25万人以上だといわれている。その多くが農村で農業に従事していた未熟練労働者であるため、行政側は都市でのこれ以上の失業率悪化を防ぐために人口流入を規制している。ジャカルタ州スティヨソ知事も、すでに職があり、住居も確保でき、予算を十分に所持した人以外は、市内へ移動することは控えるべきであるとコメントしている。
インドネシアでは、市民はそれぞれIDカード(KTP)カードを所有しており、州間を移動する際は、労働移動の規制のためにこのカードを提示する義務がある。しかし、実際には列車やバスなどの移動で、出稼ぎ労働者がカードの提示を求められることは稀なため、出稼ぎ労働者は特にIDカードに配慮して移動を行うことはないという。
特に2003年は行政側が、出稼ぎ労働者に対して、新たなIDカードはジャカルタ市内に到着してから14日以内に所持できるよう手続きを取ればよいという改正を行ったため、更に多くの人口が流入した可能性がある。ちなみにこのIDカードはおよそ5万から15万ルピアで購入することができる。
労働者の中には、ジャカルタへの人口流入を抑制することは、適切な職業を探す権利や国内を自由に旅行する権利を奪うことになると批判するものもある。
ジャワ島一極集中
2000年の統計データによると、全人口の約59%にあたる2億1000万人がジャワ島に住んでいる一方で、国土面積の4分の1を占めるマルク諸島やパプア島では、人口は2%にとどまっている。
人口移住政策は1970年代から行われており、のべ220万人以上の世帯が、新しい農地を求めて各諸島へと移住した。ここ2年間では、3万9000世帯、15万3000人が移住し、その地で雇用を見つけているという。
離島への人口移住政策も
2002年12月30日ヤコブ労相は、首都の人口集中は、失業率を更に高める危険性があると危機感を表し、首都に集中した人口を拡散するための人口移住政策を行う予定があることを示唆した。2001年から開始した地方分権化の流れを受け、まずは地方政府に移動労働者の需要があるかどうかを確認してから、中央政府の政策に着手するとのこと。労働移住省では2002年度の移住・移民予算を前年比15%増の6000億ルピアとしている。
しかし、移住政策には民族や宗教などセンシティブな問題が関わっている上、強制的な移住は人権問題に関わってくるため、慎重な議論が必要とされている。
2003年3月 インドネシアの記事一覧
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- ジャカルタ市内への人口流入抑制政策
関連情報
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