TUC、新書記長にハーバー氏を選出:89年にJILの招聘で来日

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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労働組合会議(TUC)は2002年12月18日、次期書記長にブレンダン・バーバー氏を選出した。同氏は1975年にTUCに入り、これまで9年間にわたって副書記長を務めてきた。この間1989年には、日本労働協会(当時)の招へいで来日した経験もある。2003年5月に現書記長のジョン・モンクス氏に代わって新書記長の座に就く。

バーバー氏は、労働運動のなかでは中道右派に属し、経済界に対して好意的に対応していくものと見られている。TUCと経済界は現在、低賃金や生産性の問題で協力して対策を講じているが、同氏はこうした協力関係を将来のモデルに位置づけているだけあって、昨年秋から続いている消防士の賃上げ争議では、消防労組(FBU)を交渉の場につかせる立役者ともなった。

英国では昨年、Amicusなどの巨大労組で左派の指導者が新書記長に選出されるケースが続いたが、バーバー氏がこうした動きとは距離を置いている点は注目される。左派指導者が書記長に選出されていることは、政府・使用者寄りの労組幹部に対する労働運動内部の不満の現れであることを認めつつも、同氏は2003年の優先課題を労働運動と政府の間の関係修復に置いている。関係大臣、経済界幹部、労組幹部からなる三者協議機関を設置して、共通の問題に協力して対処していきたい意向だ。

とはいえ、使用者寄りの最近の政府の姿勢に対して警告を発するのも忘れていない。解決の兆しが見られない消防ストに関してバーバー氏は、消防士側にまったく譲歩しようとしない政府の頑なな態度が、政府と労働運動全体の関係をますます悪化させていると非難している。また、最低賃金、欧州社会憲章、組合承認などに関する立法を成立させた第一期と比較して、第二期の労働党政権は労働雇用問題に関して方向感覚を失っているとも警告している。

ブレア首相は、バーバー氏がTUCの新書記長に選出されたことについて、長年の友人であり同僚であると、ひとまず歓迎の意を表明している。

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