マレーシアへの労働者派遣拡大へ

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年1月

労働・傷病兵・社会問題省(MoLISA)は2002年10月上旬、マレーシアへの労働者派遣業務許可証を新たに16社に交付した。これまでに同業務を行っている27社とあわせ、43社がマレーシアへの労働者派遣を行うことになる。MoLISA海外労働管理局によれば、マレーシアにおけるベトナム人労働者への需要は高く、27社が供給できる労働者数を上回っている。同管理局によれば、マレーシアの労働市場は2003年半ばまでに約50万人の海外労働者を必要としている。同管理局の統計によると、2002年年初より9月末までに1万人以上のベトナム人労働者がマレーシアに派遣され、大部分の労働者(57.4%)は生産、製造部門で働いている。

マレーシアへの派遣労働者数は、MoLISAが当初、マレーシアに派遣を計画していた人数の約2倍になっている。この背景には、マレーシアが、インドネシア人およびフィリピン人不法就労者を強制帰国させ、また、メイドとプランテーション、建設業を除いて、インドネシア人の新規雇用登録を凍結しているという事情がある。マレーシアでは、これらの労働者に代わって、比較的低賃金で働く意志があるベトナム人の受け入れが加速している。

MoLISAは、マレーシアから仕事を提供された労働者を対象に、職業訓練や貸付を提供している。地方政府も、従来、各機関が十分に連携せずに活動していたために、海外派遣計画が十分な成果をあげることができなかった点を反省し、貧困者救済のための計画を用意している。例えばホーチミン市では、市の労働・傷病兵・社会問題局(DoLISA)が海外労働者派遣サービス会社(SULECO)と協力して、社会福祉受給者が海外で就労するための資金援助や低利貸付を行っている。飢餓撲滅・貧困軽減基金からのこの低利貸付では、マレーシアに就労する場合には1000万ドン、韓国に就労する場合には1500万ドンの貸付が行われている。さらに市は、職業訓練、外国語訓練に必要な費用を部分的に援助している。

マレーシアの労働市場は、就労開始時に必要な費用が比較的低く、技能をほとんど持たない労働者も必要としているため、ホーチミン市DoLISAは、マレーシアへの労働者派遣を貧困対策としても注目している。

ベトナム政府は、2005年までに約30カ国に合計50万人、また、2010年までに合計100万人の労働者を派遣する計画を立てている。派遣先として重視している国として台湾、韓国、日本、マレーシアがある。

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