二輪車部品輸入枠縮小で、ホンダ、ヤマハが一時操業停止

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年1月

商業省は2002年9月4日、二輪車部品輸入規制を発表した。予期せぬ政策変更により、外国投資企業の中には操業停止に追い込まれる会社も現れた。輸入規制の理由として政府は大気汚染や交通事故の増加をあげている。

二輪車市場は最近、急拡大しており、中国製部品の輸入急増により、メーカーは何度も価格引き下げを行っている。過当競争気味の市場における国内部品メーカーの育成を目的として、政府は2002年6月、二輪車部品輸入の総枠を150万台とし、外資メーカーと現地メーカーにそれぞれ60万台、90万台を割り当て、9月に各社に対し、割り当て枠を通知した。

28万台を割り当てられたホンダは、2002年の部品輸入見通しを約60万台としていたため、既に割り当て枠を超えてしまっていた。そこでホンダは9月18日から、2500人の従業員のうち、2000人を通常の75%の給与で一時帰休させ、残りの労働者を機械の手入れなどに従事させた。ホンダ・ベトナムによると、同社の操業停止により、部品やアクセサリーを製造している約20社の現地企業にも影響が及んだ。

同様に5万台分の部品輸入枠を割り当てられたヤマハは、10月18日から800人の従業員を70%の給与で一時帰休させた。3万5000台の部品輸入枠を割り当てられたスズキも、10月末にも操業停止せざるを得ないと政府に警告した。

日本側は、関係各社、日本自動車工業会、経済産業省などがベトナムに対し、輸入割当枠の拡大を要請した。9月末には、計画投資相、商業相、大蔵相、工業相らベトナム政府代表が、外資メーカー代表と議論を交わした。その中で、商業省投資局のゴ・アイン・ズン局長は、登記資本金のうち、実際に投下されている金額に対応して輸入枠が設定されるべきなので、ビンフック省商業局がホンダに与えた輸入許可は不適切だと述べた。これに対し、ホンダは生産能力に応じて輸入枠が決まるのならばホンダの輸入枠はもっと拡大されるべきだと反論した。一方、チャン・ディン・キエム計画投資相は、閣僚の間で話し合いを重ね、ホンダが行った技術的調査、実際の生産能力などに基づき、輸入枠拡大を検討すると述べた。

外国政府、企業からの度重なる要請を受けて、ベトナム政府は、外資系二輪車メーカーの部品輸入枠拡大を決定し、グエン・タン・ズン副首相が署名、11月5日に商業省が各社に通知した。部品輸入枠追加分はホンダ11万台、ヤマハ1万7000台、スズキ5000台となっている。商業省投資局のファム・シ・チュン氏によると、政府決定は、外資系メーカーが置かれた状況、投下資本、操業規模などに基づいてなされ、外資メーカーは年内に合計で78万5000台分の部品輸入をすることができる。

輸入枠拡大まで時間がかかったため、操業停止期間はホンダ約8週間、ヤマハ約3週間に及んだ。年内生産量は各社とも、当初計画の7~8割の水準にとどまる。

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