政府の「週休二日制のための労其法改正案」確定

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年12月

9月6日に立法予告された政府の「週休二日制のための労基法改正案」は、規制改革委員会の改善勧告(行政規制法に基づいて特別な事由がない限り従わなければならない)に沿い一部修正を経て、10月15日に閣僚会議を通過した。これで、同改正案の行方は国会の場に委ねられることになった。政府は今期の通常国会での成立を目指して早くも国会対策に力を入れているが、労使の反対運動や駆け引きなどがより活発になっているだけに、国会も拙速には処理できない状況にある。

では、政府は「週休二日制のための労基法改正の最終案」をまとめるにあたって、主な争点についてどのようなスタンスをとったのかをみてみよう。第一に、施行時期について、まず規制改革委員会が企業の競争力への影響に配慮し、施行時期の再調整を勧告したのを受けて、企業規模別施行時期の延期や細分化が行われた。大企業に対しては立法予告案の通りになっているが、中小企業に対しては1年ずつ延期され、100人以上は2005年7月、50人以上は2006年7月、20人以上(立法予告案では30人以上)は2007年7月からそれぞれ施行されることになった。その他に期限の定めがなかった20人未満に対しては2010年まで大統領令で定めることが明記された。

第二に、労働時間の短縮に伴う賃金の補填については、「既存の賃金水準が引き下げられることがないように補填する」という条項が付則に明記され、「ただし、賃金の補填は改正法施行後1年までとし、その後は労使間の賃上げ交渉に委ねる」ことが付け加えられた。そして、労働部は今後指針で「改正法施行後"総額基準"で既存の賃金水準が引き下げられることはないように」、また「廃止される年月次有給休暇手当や生理有給休暇手当などは補填の対象に含めないように」行政指導していくことを明らかにした。その他の争点については立法予告案の通りである

関連条項 政府の最終改正案 労働側の要求案 経営側の要求案
施行時期
  • 公共・金融・保険のほか
  • 1000人以上 2003年7月
  • 300人以上 2004年7月
  • 100人以上 2005年7月
  • 50人以上 2006年7月
  • 20人以上 2007月7月
  • 20人未満 2010年まで大統領令で定める
3年以内に全ての事業所で施行 2005年から2012年にかけて段階的に施行
賃金補填 賃金総額基準で既存の賃金水準保障 賃金項目別に補填の対象を具体的に明記 年月次有給休暇や生理有給休暇など除外
年月次有給休暇の調整 年次休暇として勤続年数2年毎に1日ずつ加算し、15日から25日まで 年月次休暇の統合反対、勤続年数1年毎に1日ずつ加算 年次休暇として勤続年数3年毎に1日ずつ加算し、15日から22日まで
生理有給休暇 無給とする 現行のまま 廃止
平均週1回の有給休日 現行のまま 現行のまま 無給とする
超過労働時間の上限と手当割増率 改正法施行後3年間の期限付で週16時間を上限とする。割増率は50%に据え置き、最初の4時間のみ25%に引き上げる。 割増率の引き上げ 割増率を一律に25%に引き下げる
弾力的労働時間制 単位期間を3カ月に 現行のまま 単位期間を1年に
法改正に伴う労働協約及び就業規制の変更 変更に努めることを義務付ける 廃止 変更を義務付ける

11月5日に労働界が「労基法改正案の国会審議を阻止するために連帯闘争に突入するなかで開かれた国会の環境労働委員会では「労使双方が強く反対していること」を理由に労基法改正案についての審議を来年まで保留することが決まった。これと共に労働界の連帯闘争も終結した。

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