欧州委員会、企業における労働者の財政参加を促すコミュニケを提示

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年12月

欧州委員会は、2002年7月に各国政府に対し利潤分配制度などを通じた企業における労働者の財政参加をめぐる環境を改善するよう求める内容のコミュニケを提示した。

欧州委員会は1991年にいわゆる「Pepper I (Promotion of Employee Participation in Profits and Enterprise Results)報告書」を公表して以降、労働者の財政参加問題を注視してきた。そして1997年にはPepper II報告書も作成され、これをうけて欧州議会は加盟各国やソーシャル・パートナー、欧州委員会に対しこの問題に関する情報の交換等を促すよう求める決議を採択した。そこで欧州委員会は準備作業を経て、今回のコミュニケを提示したのである。

コミュニケの内容

今回のコミュニケの目的は、企業が財政参加制度を提供しやすくし、労使ともにそこから利益を得られるようにすることにある。そこでコミュニケは、第1に政策の基礎となる一般的な原則の定立を提案している。エンロン問題に見られるような危険性も考慮し、リスク分散や透明性に関わる基本原則の必要性も指摘されている。

第2に、この問題に関する上級専門家グループの設置の方針が示された。専門家グループは欧州レベルでの財政参加制度導入を遅らせている障害を検討し、2003年を目途に最終報告書を作成し、勧告を行う予定である。今のところ、税制や社会保障制度、法制度の違い等が国境を越えた財政参加制度展開の障害となっていると見られている。

第3に、欧州委員会はEU域内を通じた財政参加を支援するために模範事例の提示や一般的な目安の作成など様々な方策を採るとしている。具体的には加盟各国での会議の開催や関係団体のネットワーク作りの支援などが予定されている。

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