シュトイバー候補、「雇用のための同盟」を否定

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年11月

連邦議会選挙を2カ月後に控え、野党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)のエドモンド・シュトイバー首相候補は2002年7月17日、シュレーダー政権(社会民主党SPD主導)が重視してきた政労使の話し合いの場としての「雇用のための同盟」は、現在の形態では将来的に意味をもたないとして、これに反対する意見を表明した。

シュトイバー候補は、かねてから低賃金労働者を労働市場に組み入れるための制度改革等で30万人の失業者を削減することを提唱し、政権掌握後にはこれらの改革案を即座に実施するとし、また経済成長による雇用創出に重点をおくことを表明しており、超過労働の削減等をテーマとする「雇用のための同盟」には批判的な態度を示してきた。しかし、「雇用のための同盟」自体を公に否定したのは初めてで、これにより同盟を強力に支持するフント使用者連盟(BDA)会長等使用者団体側とも、この問題では対立することになった。

「雇用のための同盟」は最近低調で、前回の第8回会談は2002年1月に開催されたが、賃金政策を議題とすることを拒否する労働側の主張で成果を挙げられず、2000年1月の第5回会談が成果を挙げたのと比べて、低調な状態が継続している。しかしフント会長はつとに、現在ドイツのおかれた状況では、政府、経済界、労組による会談は正しい方向であるとして「雇用のための同盟」を支持し、総選挙後の新政権とは、新たな取り決めの条件を話し合う用意があると表明している。したがってシュトイバー候補は、このフント会長の立場と抵触し、「雇用のための同盟」を維持発展させることでは、同会長はむしろ現政権や労働側と立場を同じくしていることになる。

ちなみにフント会長は、経済界が総選挙については党派的に中立的態度を取ることを強調している。

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