ソーシャル・パートナー、テレワークに関する枠組み協定に署名

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年11月

EUレベルのソーシャル・パートナーは、2002年7月にテレワークに関する枠組み協定を締結した。協定に署名したのは、欧州労連(ETUC)、欧州産業経営者連盟(UNICE)、欧州公共企業体センター(CEEP)等で、協定は今後3年以内に実施されることとなる。

協定の内容

同協定は、テレワークの定義を定めるとともに、テレワーカーの労働条件に関する一般的な枠組みを設けている。次では、その概要を見てみたい。

  • 定義:テレワークは、雇用関係(あるいは雇用契約)に関連して情報技術を用い労働を組織し、実施する形態を指し、当該労働は使用者の施設内での実施も可能であるが、定期的に使用者の施設外で実施されるものをいう。そして協定はテレワーカーに適用されるが、テレワーカーとはここで定義されたテレワークを行う者である。
  • テレワークの選択は関係当事者の自由意思に任される。
  • 労働条件について、テレワーカーは事業所内の同種の労働者と同一の権利が保障されるべきである。ただテレワークの特質を考慮して、補足的な労働協約や個別契約が必要となる場合もある。
  • 使用者は、テレワーカーにより利用され処理されたデータの保護を確保するための方策を講じる責任を負う。使用者はデータ保護に関わる関係法令や会社規則をテレワーカーに通知しなければならない。テレワーカーはこれらを遵守しなければならない。
  • 使用者はテレワーカーのプライバシーを尊重しなければならない。
  • 使用機器、その責任や費用に関わるすべての問題は、テレワークを始める前に明確にされねばならない。一般的には、テレワーカーが自己の機器を使用しない限り、使用者がテレワークに必要な機器の提供、設置、保守に責任を負う。また使用者は定期的なテレワークに直接関係する費用(特に通信費)を補償すべきである。
  • 使用者は1989年EU安全衛生枠組み指令等関係指令や国内法、労働協約に従ってテレワーカーの安全衛生に責任を負う。
  • テレワーカーは、関係法令や労働協約、会社規則の枠内で自己の労働時間編成を管理することができる。テレワーカーの仕事量と成果基準は事業所内で働く同種の労働者と同等でなければならない。
  • テレワーカーは、事業所内の同種の労働者と同じ訓練・キャリア開発機会を与えられ、そして同一の評価基準が適用される。
  • テレワーカーは、事業所内の労働者と同一の団結権を有し、労働者代表との連絡は妨げられてはならない。 枠組み協定は署名当事者の加盟団体を通じ実施され、加盟団体はその実施状況を報告することになっている。また署名当事者は、そのいずれかからの要請があった場合に5年後以降に協定を見直すとされている。

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