失業保険、2003年10月導入を目処に

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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現地紙の報道では2001年12月までに導入が検討されていた失業保険が、2003年10月を目処に導入される見通しであることが明らかになった。

労組待望の失業保険制度

1997年に起きた経済危機以降、雇用情勢が悪化し失業者が増大するに伴い、多くの労組やNGOは政府に対して失業保険の導入を要請し続けていた。しかし政府は(1)財政難(2)経済不況のため使用者・労働者ともに、積立金の負担額の増加は困難(3)社会保障法は失業保険に関しては何の明記もしていない、との理由から、時期尚早と制度導入を見送ってきた。

今回の労働・社会福祉省の失業保険制度案では、使用者と従業員が月給の1%を負担し、政府は最初の3年間だけ0.5%を拠出するというものだ。4年目以降は、使用者と従業員の拠出金のみで運用される予定となっている。

すでに社会保障基金では健康保険や老齢年金などを対象としており、失業保険も社会保障基金で運用される。しかし、労働・社会福祉省では、失業保険だけは使用者と従業員の互助的な制度としたい意向を示しており、国が資金を拠出するのは2003年から2006年の3年間だけということになる。

健康保険と老齢年金については、国は基金への拠出義務を持つため、失業保険だけが異なった運用方法になる。

近年の失業率は経済危機以前の水準に近づきつつあり、政府は使用者と従業員の拠出金だけで失業保険をカバーできると判断したと考えられる。

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