仕事嫌いのコスト、年間54億シンガポールドル

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年9月

仕事に魅力を感じていない労働者がシンガポール経済に負わせているコストは年間54Sドル。アメリカの経営コンサルト会社、ギャラップの調査によれば、こうした労働者は24万5000人、労働力人口の12%にすぎないが、経済に与えている損害はかなり大きい。

調査は今年の3月に行われ、18~54歳までの労働者1000人と面談して12の質問をした(注1)。職種は露店のアシスタントから管理職・役員までに及ぶ。経済の損失額については、シンガポールの平均年収=3万7608Sドルと労働力人口=204万7000人をもとにして、労働者一人につき損失した生産性の価値を割り出した。

調査結果によると、自分の仕事に「積極的に従事している(engaged)」労働者はわずか4%しかいなかった。大多数(84%)は「積極的には従事していない(not engaged)」労働者で、こうした労働者は、よりよい条件が与えられれば離職してしまう可能性があるとレポート述べている。

残りの12%、約24万5000人は、仕事に不満を感じているばかりか、仕事や使用者に対する否定的な態度をはっきり表明している労働者で、ギャラップはこうした労働者を「洞窟居住者(Cave dwellers)」と呼んでいる。

ギャラップは過去3年間にわたり、同様な調査を各国で実施してきた。シンガポールで最初に調査を行ったのは2001年8月で、その時には「洞窟居住者」は17%、「積極的には従事していない」は76%であった。

ギャラップの調査ではまた、職業訓練は労働者に会社への積極的な関与を促すという一般的な見方を否定する結果も出ている。何らかの職業訓練を受けた労働者は45%いる一方で、仕事に積極的に従事していると答えたのはわずか7%であった。

コメントを求められた使用者らは、今回の調査結果にはさほど驚いていないようだ。ある使用者は、企業の吸収合併や規模縮小が進展している現在のビジネス環境では、仕事に消極的になるのはやむを得ないとコメントしている。

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