2002年9月から1年間の最低賃金、時間当たり2275ウオン(月51万4150ウオン)
最低賃金委員会は6月28日、2002年9月から1年間適用される最低賃金を現行の時間当たり2100ウオン(月47万4600ウオン)から2275ウオン(8.3%)に引き上げる案を議決した。
最低賃金の引き上げ率をめぐっては労使の間に開きがあった。労働側は時間当たり2340ウオンを要求したのに対して、経営側は2275ウオンを提示した。結局、票決により、経営側の引き上げ案が通った。
これに対して、韓国労総は「今回の引き上げ率は生計費上昇率12.4%のほか、最近の賃金上昇率9.6%、生産性上昇率8.8%などにも満たないほど低いため、受け入れられない」との立場を表明した。ちなみに、韓国労総が傘下の「製造業連盟」の組合員および非組合員1731人を対象に行った「低賃金労働実態調査」によると、最低賃金の要求額は時間当たり3350ウオン(月75万7000ウオン)である。
その後、韓国労総は早速労働大臣に上申書(最低賃金案再審議要求)を提出し、「今回の最低賃金引き上げ額は労働者の生計費を勘案していない。低賃金労働者の保護という同制度の趣旨に沿わない最低賃金案に対して大臣が最低賃金委員会に再審議を求めるべきである」と要求した。さらに、最低賃金委員会にも上申書(最低賃金制度改善要求)を提出し、「現行の最低賃金適用期間(9月―翌年8月)を企業の会計年度(1月―12月)に合わせて変更すること(注1)や、最低賃金委員会でキャスティングボートを握っている公益委員の委嘱方法を現行の労働大臣推薦・大統領による委嘱から労使団体の合意による委嘱に変え、市民団体などの関係者も公益委員に委嘱できるように同制度を改善すべき(注2)である」と主張している。
そして、民主労総も「今回の最低賃金引き上げ額は、最低賃金委員会が独自に調査した生計費56万1000ウオンよりも少ない水準である。これは低賃金労働者の生活保護という同制度の趣旨に反するので、市民団体などの意見を収斂し、同制度の改善に取り組む」と述べた。
民主労総が世論調査会社と共同で成人男女700人を対象に「所得分配構造と最低賃金制度」について調査したところによると、最低賃金の適正な水準として60-69万ウオン(34.1%)、70-79万ウオン(22.5%)を挙げる者が比較的多い。また最低賃金引き上げの影響については、「賃金格差の緩和、所得分配の改善などに寄与する」という肯定的な見解には賛成する者が77%、一方、「零細・限界企業の倒産など悪影響が大きい」という否定的な見解には反対する者が63.2%のように、最低賃金引き上げの悪影響を懸念するより、その効果を期待する向きが比較的に多いことがうかがえる。
注
- 仁川地域タクシー労組は、7月27日に労使合意(月給制の実施、地労委への賃金交渉調停申請、スト期間中の民事・刑事上の責任は問わないことなど)が成立したのを受けて、2カ月以上に及んだ争議に幕を閉じた。(本文へ)
- 起亜自動車では、7月23日に暫定合意案に対する組合員投票が行われ、賃上げ案は71.4%、協約改定案は61.3%の賛成でそれぞれ可決した。(本文へ)
2002年9月 韓国の記事一覧
- 民主労総傘下事業所別労組による労働争議の長期化
- 2002年9月から1年間の最低賃金、時間当たり2275ウオン(月51万4150ウオン)
関連情報
- 海外労働情報 > 国別労働トピック:掲載年月からさがす > 2002年 > 9月
- 海外労働情報 > 国別労働トピック:国別にさがす > 韓国の記事一覧
- 海外労働情報 > 国別基礎情報 > 韓国
- 海外労働情報 > 諸外国に関する報告書:国別にさがす > 韓国
- 海外労働情報 > 海外リンク:国別にさがす > 韓国