公式失業率計算方式変更へ

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年9月

ブラジルには、失業率として、6大首都圏のみの調査で計算するブラジル地理統計資料院(IBGE)のデータと、企業の雇用状況報告を基準にした労働省雇用給料局の指数、それに労組の研究機関であるDIEESEの主要首都圏における調査の3種類がある。資料院の失業率はいつも労組機関の指数の約半分になっていて、どれが実態に近いのかいつも疑問を持たれていたが、資料院は、国際労働機構の提案に基付く計算方法に近つけるという理由により、02年11月から計算方を変更すると発表し、これで資料院のデータもかなり高い水準に変わると予想されている。

現在の計算方法は、資料院が失業調査を行った日の前の7日以内の期間に、就職を探す行動を取った場合にのみ、失業者として計算し、就職難のために就職活動を諦めている場合は、いかに失業期間が長くても、失業者として計算しない方法を取っている。新計算方は失業者が調査を行った日から数えて30日以内に求職活動を行った場合を失業者と計算することに決定しており、この期間はDIEESEと同じである。資料院は2000年に実施した国勢調査でも、この30日の期間による失業調査を、従来の方法と平行して実施したところ、2000年に公式失業率が7.1%であったとき、新計算方では15%に達した。資料院は「計算方式の変更によって当然失業率は増加する」と認めている。

また現在労働市場把握のために失業率調査に用いているアンケートの項目28項目を68項目に増加させて、より正確な実情分析を試みる。新項目には失業者の職業訓練水準、再教育度合い、学歴、失業理由、就労している場合は所属組合などを合わせて調査する。資料院はこの調査変更を機会に、単に失業率調査ではなく、経済活動人口の雇用状況を分析することを主体に置き、失業調査は付属的にする考えである。資料院では、単に失業率だけ独自に計算しても意味は無いと考え、新計算方法によって労働力の訓練度合い、教育水準などを毎月調べようとしている。解雇された場合は解雇理由がどこにあるかを突き止めるところまで調査する。就労していない経済活動人口が、就職活動を開始した場合の理由、求職活動を止めた場合の理由(更に学歴を伸ばして就職する為の通学や、就職難のために、求職活動を諦めた、など)、職能を持っていないために、非経済活動人口になっている人口の調査も行う。

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