若年者の不安定な就業状況

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年8月

Co.Co.Co.(collaboratori continuati e continuativi:長期にわたり協働労働(注)を繰り返す労働者の意味)という略語は、すでに象徴的意味をもつようになっている。5月1日に公表されたデータによると、Co.Co.Coの平均像は、年齢が25歳から35歳、高卒あるいは大卒、月収約500ユーロである。不安定性がその特徴である。その数は200万人にも達し、多くが子供を扶養していてもよいはずの年齢にある。その職業は、コール・センターのオペレーター、訪問販売員、ツアーガイド、グラフィックデザイナー、記録文書係、コック、理学療法士、スポーツインストラクター、スタイリスト、メークアップアーティストなど、かなり多彩である。性別でみると、60%以上が女性(とくに若い女性)である。Co.Co.Coの背後には数多くの非典型労働が存在することを忘れてはならない(2001年9月1日のデータで、有期労働者は141万人、派遣労働者は29万1000人、2002年のデータで期間の定めのないパートタイム労働者は97万9000人である)。Co.Co.Coは、従属性がなく保護に欠ける数多くの非典型労働の1つにすぎないのである。

「非典型労働」従事者につき、CGIL(イタリア労働総同盟)の社会経済研究所であるIRESアルティエリ所長は、「Co.Co.Co.は、単なる生存にとどまらない自律的なものを築こうとしても築くことができない世代の象徴である。ただし、Co.Co.Co.には、コール・センターのオペレーターだけでなく、企業の取締役なども含まれており、多様である。しかし、取締役等はいずれにしても少数派である。現実のCo.Co.Co.は、疾病に関する権利も出産・育児に関する権利もなく、わずかな社会保障給付に頼っている。Co.Co.Co.の多くが女性であり、その地位の不安定さと子をもうける困難さとが密接に関連していることは明らかである」と述べている。いくつかの労組が、Co.Co.Coに関しても最低限の保護を及ぼすよう使用者側に働きかけ、これに成功している例がみられる。

EUのフランセスカト心理カウンセラーは「経済要因のために、もともと存在した若年世代の家族への依存や困窮状態がいっそう強くなっている。現在30歳の人々は、不安定な状況の中で生活設計をすることに慣れていない。こうした若年世代の親は、安定したポストを有しベビー・ペンションを得てきたのであるが、現在でもこうした状況に代わるモデルがないのである。Co.Co.Co.状態で、子供をもうけようとする若年カップルは極めてまれであり2%にすぎない」と指摘している。

注)協働労働とは、イタリアの民訴法上、協働労働関係は、注文主に従属していないこと、すなわち、事業の職階製に組織的に組み込まれず、活動遂行の方法や場所、時間に関して、自律性を有することと解されている。
若年者と就業者(1,000人)
高卒 大卒
  就業者 求職者 就業者 求職者
25-29歳 1,208 260 212 82
30-34歳 1,402 139 374 51

出所:5/6 la Repubbica

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