ソーシャル・パートナー、生涯学習と教育訓練に関する枠組みに合意

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年8月

欧州労連(ETUC)、欧州産業経営者連盟(UNICE)、欧州公共企業体センター(CEEP)等は、能力と技能の生涯にわたる開発に関する行動枠組みについて合意した。交渉は14カ月にわたり、2002年2月にようやく合意に至った。

合意内容

「枠組み」は、まず労使だけでなく社会全体が直面している多くの課題(例えば、新たな情報通信技術の開発など)をリストアップしている。示された課題からは、今日の企業が競争力を維持するために早急な組織体制の改革を迫られていることが明らかとなっている。そのため企業には核となる能力の確定と普及、そして労働者には能力の維持・向上、職種転換などが求められることとなる。また高齢社会の到来により、生涯学習の必要性も高まっている。

これらを踏まえた上で、「枠組み」はソーシャル・パートナーが能力開発等に協力して取り組むことを確認した上で、企業や労働者、そして政府の主体的参加を促している。

さらにソーシャル・パートナーは、4つの優先分野を示し、それに沿った政策実現を主張する。まず第1に能力・資格の必要性を確定し、予想することについては、企業レベルと各国レベルでの取り組みを求め、さらに教育・訓練機関の協力や情報収集等のためのネットワーク確立の必要性が指摘されている。第2に能力・資格の認可・証明については、地理的移動や職種転換を促進し、労働市場の効率を増すためにもそれに関する対話が必要であるとしている。第3に情報・支援・ガイダンスの提供に関しては、労働者や企業を支援するための機関の設置を求めている。第4にソーシャル・パートナーはこの問題について、ソーシャル・パートナーだけでなくありとあらゆる関係者の参加を要請している。特に企業や労働者が能力開発に投資できるような税制や欧州社会基金の利用が提言されている。

ソーシャル・パートナーは、この合意を実現させるべく加盟各国等に働きかける予定で、今後は上述した4つの優先分野についてその進捗状況を示した報告書が作成されることとなっている。

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