歴史的なペイ・エクイティに関する判断
既報のように、NSW州労使関係委員会は2002年3月にペイ・エクイティに関する歴史的な決定を下した。委員会は、NSW州の公共部門で働く図書館員(司書)等がジェンダーに基づきその労働を過小評価されてきたことを認めた。一部の図書館員は男性であるものの、その大半は女性により占められている。委員会は、このことが低賃金をもたらした理由であると認め、25%を上限とした賃金引き上げを内容とする仮アワードを作成した。ただ注意すべきなのは、この決定が適用されるのはNSW州に限定されるという点である。
決定の背景
委員会は、1999年12月にいわゆる女性職が過小評価されてきたことを示す報告書をNSW州政府に対し提出した。報告書の中で、委員会はこうした現状が同一価値労働同一賃金原則を定めるILO第100号条約に違反すると指摘し、新たな原則を確立する必要性を主張した。その後、委員会はある労働組合の主張を検討するにあたり「2000年NSW州公平賃金原則」をうち立てた。
同原則が示されてから、その適用を求める初めての請求が2001年10月に公共部門労組により行われた。州の公共部門労組は州政府機関により雇用されている図書館員や図書館専門員、記録保管係の賃金引き上げ等を求める請求を行った。労組は、こうした職種が女性により占められ、過小評価されているので、再分類と再定義が必要であると主張した。委員会はこれに同意し、さらに近年こうした職種に必要とされる技能や責任が増してきていることを指摘した。その上で、委員会は上述したような決定を下したのである。
決定に対する評価
NSW州の公共部門労組は、同決定が労働組合運動にとって歴史的なものであると歓迎している。ACTUはNSW州以外でも同様の請求が行われるであろうとの見解を示した。確かにこの決定は先例になるとみられており、公共・民間両部門のこれらの職種だけでなく、保育や美容師業などにも波及する可能性も指摘されている。
2002年8月 オーストラリアの記事一覧
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