2001年、海外出稼ぎ労働者からの本国への送金額は、約5.2%減少
フィリピン中央銀行の発表によると、2001年、海外出稼ぎ労働者からの本国への送金額は、2000年の51.0億ドルから、2.6億ドル(5.2%)減少し48.4億ドルになった。
海外からの送金額減少の主たる要因は、海外出稼ぎ労働者が、2000年480万人から、約10万人減少したことにあり、これは、米国のIT不況、同時多発テロ以後の一部の中東諸国の治安悪化、台湾、マレーシア等に見られる海外出稼ぎ労働者の雇用制限の影響を受けたためである。
特に、米国在住の海外出稼ぎ労働者からの送金額が、2000年の33.9億ドルから、7.7億ドル(22.7%)減少し26.2億ドルに減少したことが大きく影響した。
また、陸上での就労者からの送金額は9.3%減少したが、海上での就労者からの送金額は、18.5%増加した。この理由は、政府が海員の技術訓練を強化し、フィリピン人海員の労働の付加価値が高まった結果と見られている。
ただし、海外出稼ぎ労働者の送金方法は様々であり、実際の送金額は、フィリピン中央銀行が発表した数値の数倍に達すると見られている。このため、フィリピン中央銀行の数値は、正確な金額を把握していないという批判が年々強まっている。
これらの批判に対して、ラファエル・ビュナベントラフィリピン中央銀行総裁は、フィリピン中央銀行は、年々調査方法を整備しつつと強調し、大手の銀行を使用した送金以外に、貯蓄貸付組合、両替業務を専門に行なう市中銀行の子会社等を含む送金額を調査していることを明らかにした。
海外出稼ぎ労働者からの送金は、輸出入における経常赤字を解消する上で大きな役割を果たし、為替相場におけるペソの安定に寄与している。2001年、フィリピンは、イスラム武装組織「アブ・サヤフ」の活動激化による治安の悪化、エストラーダ政権末期に大きくクローズアップされた政府関係者の汚職問題、過度の人口増加に起因する高い失業率等多くの国内問題を抱えながらも、多額の本国送金の恩恵を受け、ペソの対ドル交換比率は、1ドル50ペソ前後の比較的安定した状態で取引きされた。
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