IT技能者の不足問題、改善見られず

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

タイの記事一覧

  • 国別労働トピック:2002年3月

IT関連分野の人材不足はここ数年大きな問題となっているが、改善の傾向がみられず、今後も人材不足の深刻化が見込まれることが、タマサート大学と国立エレクトロニクス・コンピューター研究所(NECTEC)の調査で明らかとなった。

2001年は1万8000人の技能者不足

同調査によると、2001年はIT技術者の供給が8万5000人に対して需要が7万8000人と、一見供給過剰のように見えたが、技術者の中には技量不足とみられる人も含まれており、必要な技量を持った技術者はこのうち8割程度とみられている。そのため結果的に、2001年のIT技術者市場では1万8000人が不足していることが明らかとなった。

また、2006年からのIT技術者に対する需要は2001年の2倍、15万7000人に膨れ上がると推測されているが、IT関連の学部・大学院卒の新卒者が毎年1万人程度見込まれていることと、1995年から政府が実施しているIT訓練が功を奏してくるのではないかという見方から、人材不足にはならないとの楽観的見方もある。しかし前述のように、新卒者が即戦力たりうるかといった問題や、技能不足が解消されなければ、今後もIT技術者の不測問題は続くであろうと、同調査は結論付けている。

IT訓練に大幅な予算増加案が

労働社会福祉省の技能開発局は、全国の失業者に対して無料のIT訓練を提供するために429兆9542億バーツの予算案を国会に提出。予算が認可されれば、2002年1月から9月までにIT訓練が実施される。訓練の内容は、基礎的なコンピューターとインターネットの利用方法、CAD(Computer Aided Design: コンピューター支援設計。コンピューターを利用して製図や設計図を描くシステム)訓練などが予定されている。

スリン技能開発局長は、「IT技能を身に付けた人々はよりよい就業機会に恵まれるであろう」と話している。同局は1995年から様々な訓練を提供してきた。

また近年では、チュラロンコン大学及びラムカムヘン大学の大学院生にもEコマースとIT訓練を提供している。

2002年の集中プロジェクトでは、基礎コースにおいて740のコースを設け、3万人を対象に7日間で40時間のクラスを開催する。応用コースでは、CADプログラムをマスターするための20人ごとの48クラスを開催、Eコマースでは7680人を対象にした228クラスを開催し、ビジネスマネージメントだけでなくウェブデザインやウェブ開発の訓練が行われる。

同局は雇用局とも協力して、学生の就職支援も行っていく方針だ。各コースは主要な各県の労働局で開催される。

関連情報