現代自動車で賃上げおよび労働協約改定交渉妥結

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年2月

現代自動車で12月17日に暫定合意された賃上げ及び労働協約改定案は20日の組合員投票で否決され、振り出しにもどるかに見えたが、25日の再交渉で分割支給となっていた別途成果給の一括支給と12月31日の有給休暇などを加えた新たな暫定合意案が成立し、27日の組合員投票で可決され、労使紛争は終結を向えた。その経緯をみてみよう。

まず、同社労組は11月17日、賃上げ交渉の決裂を理由に中央労働委員会に争議調停を申請して、29日から部分ストに入ると同時に交渉を再開した。労組は12万5033ウォン(基本給12.9%)の賃上げと当期純利益の30%に当たる成果配分(再投資40%、株主配当30%)の他に、構造調整の際の事前合意、解雇者の復職、懲戒委員会の労使同数構成、週40時間への労働時間短縮などを要求した。これに対して会社側は、労働協約改定関連項目の中に「経営権を侵害する要素が多い」ことを理由に難色を示したため、労使間の話し合いは平行線のままであった。そのため、労組側は12月6日に続いて14日にも、時限付全面ストに突入するなど、経営側に圧力をかけた。

結局、経営側は、長引く景気低迷の中でも自動車の国内販売や輸出が好調であるこの時期に、「ストの長期化に伴い、企業の評判や国際的な信用のみでなく、経済にも大打撃を与えかねない」ことを恐れたのか、労組側に大幅に譲歩する線で次のような暫定合意案を受け入れるに至った。

第1に、(1)賃上げでは基本給8万8000ウォンの引き上げを行うこと、(2)成果配分では確定成果給1.5カ月分、別途成果給1.5カ月分、交渉妥結一時金100万ウォン、品質向上奨励金60万ウォンなどに分けて(4カ月分以上の)成果給を支給すること。

第2に、労働協約改定では(1)解雇者10人全員の復職、(2)労使紛争に係わって懲戒処分を受けた者に対する懲戒解除・復権、(3)整理解雇の際の事前合意、(4)ユニオンショップの拡大―などが合意された。ただし、「週40時間への労働時間短縮や懲戒委員会の労使同数構成など」は取り下げられた。

このように、賃金の面では経営側が大幅な成果配分に応じた反面、労働協約改定の面では労組側が一部経営権に直結する項目などを取り下げる線で暫定合意は成立した。しかし、この暫定合意案は12月20日に実施された組合員投票(組合員3万8346人のうち、3万6961人)の結果、53%(1万9553人)の反対で否決されてしまった。その後25日に再開された労使交渉で最大の争点であった成果配分には触れず、交渉妥結と同時に成果給全額を一括支給することや、(ストによる減産分を挽回するために12月29、30日に特別勤務する代わり)12月31日を有給休暇にすることなどを新たに盛り込んだ暫定合意案が成立し、27日に行われた組合員投票の結果、今度は67%の賛成可決に至ったのである。

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