雇用支援などを柱に大型の追加景気対策を発表

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年1月

リー・シェンロン副首相は2001年10月12日、雇用支援など8項目を柱とする113億Sドル規模の第2次景気対策を発表した。7月に発表した第1次の5倍、また1998年に実施したアジア金融危機対策の105億Sドルをも上回る規模となった。

第2次景気対策を打ち出した背景には、第1次の規模が期待されていたよりも小さく、経済界から第2次を望む声が高まっていたこと、主要な輸出先であるアメリカの経済減速が同時多発テロの影響で深刻化すると予測されること、などがある。

今回の対策は、(1)税金還付(2)地場企業支援(3)不動産関連措置(4)インフラ事業の前倒し実施(5)雇用支援(6)低所得者・失業者支援(7)ニュー・シンガポール・シェアの導入(8)公務員給与の削減―の8項目を柱とする。主な項目の概要は次の通り。

税金還付

2001賦課年度(1~12月)の法人税納税額のうち2万5000Sドルまでの部分については50%、これを超える部分については5%を還付する。2002年度についても、5%の還付を実施する。個人所得税については、2001年度の還付率を10%から15%に引き上げ、2002年度には10%を還付する。

地場企業支援

地場企業支援スキームに基づく法人向け融資金利を既存、新規とも1%に引き下げる。また、小規模企業向け融資制度を新設する(2億5000万Sドル規模)。

雇用支援

職業訓練プログラムに参加した40歳以上の失業者を雇用した企業に対して実施されている50%の賃金補助の上限を、600Sドルから2000Sドルへ引き上げ、適用期間を3カ月から6カ月に延長する。

技能再開発プログラムの全日制コースへ参加している失業者や解雇者への補助金を、現行の600Sドルから、最終賃金の75%または1000Sドルのいずれか低い額へ引き上げる。定時制コースの参加者については、補助金を3.8Sドルから5.7Sドルへ引き上げる。

労働者の資格取得研修講座の授業料に対する補助を、現行の80%から90%へ引き上げる。

低所得者・失業者支援

低所得者に対し公共料金を一部還付し、また2001年1月1日以降に解雇された者に対して医療費を最大40%還付する。

公務員給与の削減

国会議員、高級官僚の給与を2001年11月から1年間、10%引き下げる。

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