外国人労働者の就労期間、3年に短縮

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年1月

政府は2001年10月27日、外国人労働者の就労許可期間を3年に短縮するとともに、すでに3年以上滞在している外国人労働者約30万人を本国に送還すると発表した。マレーシア人の雇用確保を目的としたものだが、マレーシア人が就労を嫌ういわゆる3K部門の使用者からは、代替要員の確保は困難との不満の声があがっている。

これまで外国人労働者の就労許可期間は、延長期間を含めて6~7年。これを3年に短縮する今回の措置は、発表のあった10月27日より実施される。ただし、メイドは対象外。また、すでに3年以上滞在している30万人の送還措置は11月19日から開始され、同日にはインドネシア人2万5000人が送還される。

アブ・ザハル内務政務次官は今回の措置の目的について、経済減速の影響で離職者が増えるなかマレーシア人の雇用を優先的に確保し、また工場閉鎖などで職を失った外国人が不法に滞在するのを防止するためであると述べている。

現在マレーシアでは、約70万人の外国人労働者が、主に建設、農業(プランテーション)、製造、サービスの各部門で就労しているが、これ以外にも、不法に就労している外国人がさらに100万人いると労組は推定している。

2001年1~9月に発行された就労許可証は51万3968件。内訳を分野別で見ると、製造業が19万688件、メイドが13万5847件、プランテーションが9万3468件、建設業が5万4035件、サービス業が3万9785件となっている。

今回の措置について、労使はともにその有効性を疑問視している。

マレーシア労働組合会議(MTUC)は、外国人労働者が引き起こす社会問題の防止には寄与するかもしれないが、本国に送還しても(再)入国を禁じていないため、マレーシア人の就労機会の増加にはつながらないと見ている。MTUCは、むしろ新規ビザの発行を凍結すべきだと政府に求めている。

一方マレーシア使用者連盟(MEF)は、今回の措置によって人員確保に支障を来す使用者が出るとの見方を示している。政府がターゲットとしている外国人労働者の大半は、工場や建設現場で就労している未熟練労働者だが、マレーシア人はその種の職には就きたがらないうえ、仮に就いたとしても、他に良い条件の仕事が見つかるとすぐに転職してしまうためだ。

こうした反応を受けて政府は、とくに国内経済の一つの柱である輸出志向製造業を念頭において、外国人を直ちに送還した場合に深刻な人員不足におちいる使用者については、雇用している外国人の滞在許可を特別更新するなど、柔軟に対応する方針を打ち出している。

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