強まる失業増加予想

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年1月

国際、国内経済とも先行きの見通しが暗いため、各業種、多数の企業が10月に入って相次いで人員整理計画を発表しており、2001年中は、これからも解雇者の増加が続きそうだ。

国際的に大量の解雇者が出ている航空業界はブラジルでも同様で、内国系、外資系ともに2001年中にかなりの労働者が解雇されると予想されている。航空業界の低迷は当然ながら観光産業にも悪影響を及ぼしている。

また減産とレイオフを繰り返している4輪関連メーカーは、任意退職を募集する一方、自然退職者が出た後も人員を補充せず、さらに追加的な人員削減の必要性を強調している。自動車工業協会の発表では、4輪メーカーと代理店は約2カ月間の生産に相当する20万台の在庫を抱え、生産調整を迫られている、という。

フォルクス・ワーゲン社では、労使交渉の最中、経営者側から、後退した市場に適合させるためには1万6000人の従業員のうちの最低3000人の解雇か、給料・労働時間ともに20%削減するか、そのいずれかを選ぶように労組に提案して労働者を驚かせている。労組は提案を一応拒否した後で改めて労使交渉を開始しているが、工場の露天置場は完成車で一杯になっており、減産の必要は外部からも散見できる。

消費者の購買力低下と節電の影響により減産を続けている電子電気工業、2000年まで好調だった通信産業まで減産に入って、ブラジル経済の牽引車部門はすべて2001年中の回復可能性を失わせている。

労組の研究機関であるDIEESEでは、外資を借り入れるための金利引上げ、国内市場の後退、ドル高市場が引上げた輸入品のコスト高、節電義務、インフレ上昇と購買力低下などにより、はっきりと前途の予測は悪化したと発表した。当然今後の労使交渉に影響し、労組は、下半期の失望するような経済の推移からして、ベア要求よりも雇用維持を優先するしかないと2大中央労組の幹部が認めている。

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