目立つ雇用のミスマッチ
―国の訓練コースを利用する企業も少数

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年12月

求職者が増加しているにもかかわらず、既存の求人がほとんど満たされていないことが、求職者支援特別対策本部の調べでわかった。求人10に対し1の割合でしか満たされていない。対策として技能再開発プログラムの活用が期待されているが、実際に利用している企業は少ない。

特別対策本部は、全国労働組合会議(NTUC)のヘング・チー・ハウ副書記長を本部長に9月に設置され、政府の関係部局と連携しながら、失業者の求職活動を支援している。

雇用のミスマッチの原因についてヘング本部長は、①40歳以上の雇用を嫌う会社が少なくないこと、②求職者が欠員を埋めるのに必要な技能や適正を備えていないこと、③求職者が低賃金の仕事に就きたがらないこと--を指摘している。

ヘング本部長は、当面の対策として、技能再開発プログラム(SRP)の活用を呼びかけた。

SRPとは

SRPは、企業が労働者とくに中高年と低学歴者の技能改善に努めることを奨励するため、1996年12月、全国労働組合会議(NTUC)、経済開発庁(EDB)、生産性基準庁(PSB)および技術教育機構(ITE)が協力して開設した。

SRPのもとで企業が中高年(40歳以上)を訓練させた場合、受講費用は技能開発基金により全額支払われるうえ、訓練中の労働者に支払った賃金は、80%が同基金から当該企業に還付される。

SRPの利用者は少数

ところが、労働力省が1932社を対象に調査したところ、2000年にSRPを利用した企業はわずか16%であることが分かった。

利用しなかった企業に理由をたずねたところ、最も多かったのが、SRPには自社の必要としている訓練コースがないという回答であった(47.8%)。またSRPの存在を知らなかったという回答も36.4%もあった。

もっとも、従業員500人以上の企業については、99%がSRPを利用していた。

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