2001年の成長率、マイナス3%に下方修正
 ―通年失業率は4.5%に達する見通し

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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政府は10月10日、第3四半期の経済成長率(速報値)が前年同期比マイナス5.6%になると発表した。建国以来最大の落ち込みであり、これを踏まえて政府は、2001年の成長率見通しを0.5~1.5%からマイナス3%へ下方修正するとともに、失業率も年末までに4.5%に達するとの見通しを示した。

3度目の下方修正

政府が2001年の成長率見通しを修正したのは今回で3度目である。年初に示した見通しは5~7%であったが、これを4月に3.5~5.5%へ、7月に0.5~1.5%へ下方修正していた。そして今回さらに、マイナス3%へ下方修正したが、これは建国以来最低の成長率を記録した1985年のマイナス1.6%よりも悪い。

IT不況にテロ事件が重なったことで米国経済の減速は著しく、対米輸出依存度の高いシンガポールはその影響をもろに受けた格好だ。経済情勢がいかに深刻になりつつあるかは、今回の記者発表にジョージ・ヨー貿易産業相とリチャード・フー蔵相が同席したことからもうかがえる。ヨー貿易産業相は、経済の減速は2002年にも続き、同年の成長率はマイナス2~プラス2%になるとの見通しを示した。

雇用情勢への影響

経済情勢の悪化はそのまま雇用情勢にも現れている。まず、3月に2.6%であった失業率は6月に3.0%に上昇し、そして9月に4%まで悪化している。ヨー貿易産業相は年末までに4.5%に達するだろうとの見通しを示している。

また労働力省の統計によると、第2四半期の解雇者数は5631人で、前期比73%増。これで上半期(1~6月)の解雇者数は8879人に達した。

新規雇用数を見ると、第2四半期のそれは3289人。前期の2万3210人、前年同期の2万9655人と比較すると、その落ち込みの大きさがわかる。

政府は7月末に、総額22億Sドルの景気浮揚策を発表したものの、産業界では不十分との見方が支配的であった。経済の悪化が一段と進んだことをうけ、政府は10月中に景気浮揚策「第2弾」を打ち出す予定である。

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