欧州委員会、商法上級専門家グループを設置

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年12月

欧州委員会は、2001年9月に商法上級専門家グループを設置することを公表した。同グループは、商法とりわけ株式公開買付法(TOB)に関わる問題を調査・研究するために設置された。

より具体的には、TOBに関わる指令案の準備と欧州連合における商法の分野での優先事項を明らかにするために、同グループが設置されたといえる。欧州委員会は、同グループの勧告に基づき、TOBに関する指令案を作成するものと思われる。

同グループは、加盟各国の商法専門家の中から選ばれた7名の委員から成る(議長はジャップ・ウィンター氏)。初めての会合は2001年9月11日に開かれ、2001年末までに第1次報告書が提出される予定である。そして最終報告書は2002年半ばまでに作成され、これに基づき欧州委員会が新たな指令案を作成する。

欧州議会は2001年7月にTOBに関する指令案をしりぞけていた。この指令案では、TOBの影響を受ける会社の従業員とその代表に対する情報提供に関する規定が設けられていた。

雇用の質

雇用創出に関する量的目標を設定するだけでは十分でないということから、雇用の質を向上させることが求められるようになった。そこで、欧州委員会は2001年6月に雇用と社会政策に関するコミュニケを採択した。同コミュニケでは、雇用の質に対する投資についての枠組みが示されている。この中で、欧州委員会は雇用の質を高めるための枠組みと雇用の質に関する指標を提案している。さらに、雇用の質を高めるという目標が雇用・社会政策の中に完全に統合されるために、定期的な政策の見直しの必要性が指摘された。

今回の会議では、このコミュニケが提出され、各国の担当大臣が自らの見解を示した。

社会的包含に関する指標

欧州委員会は、貧困と社会的排除に対処するための行動計画を検討している。そのためには、加盟各国における問題の程度を測定する共通の指標を開発することが重要となる。共通指標の開発作業はすでに始まっており、おおむね順調に進んでいる。しかし、非貨幣的指標の開発と、医療・住宅・教育に関する測定方法を改良することが早急に求められており、欧州委員会は2001年末までにこれらに関する合意を取り付けたいと考えている。

今回の会議では、これらの指標に関する今後の作業予定が説明された。

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