欧州委員会、雇用パッケージを承認

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年12月

欧州司法裁判所は、2001年3月に欧州労使協議会指令に関する最初の事件について判断を示した。

事件はドイツの企業グループ内の1企業で生じたものであるが、争点となったのは欧州労使協議会設立準備にあたり、従業員代表が企業グループの一角を構成する使用者に対し従業員数や企業グループの組織構成に関わる情報を要求してきたときに、使用者にはそれに応じる義務があるかどうかであった。特に問題となったのは、1企業にとどまらず、企業グループの情報までが対象となるかどうかであった。

事件の概要

ある企業グループに属するドイツ企業の事業所委員会は、欧州労使協議会の設立を検討するために会社に対し企業グループ内の従業員数と組織構成に関する情報を提供するよう求めていた。会社側がこれを拒否したために、事業所委員会は情報提供を命じる命令を求め、地方労働裁判所に提訴した。控訴審において州労働裁判所は、ドイツの欧州労使協議会法に基づき、事業所委員会が加盟各国における従業員総数の平均やその分布、そして組織構成に関する情報を得る権利があるとの見解を示した。その上で裁判所は、自らの解釈が欧州労使協議会指令に一致していることを確認するために、欧州司法裁判所に対し予備的判決を求めた。

欧州司法裁判所の判断

まず争点となったのは、情報提供を求められる会社が欧州労使協議会指令で定められている企業グループ内の支配的企業でなければならないのかである。この点に関し欧州司法裁判所は、労働者から要請があった会社が企業グループ内の支配的企業であることが証明されていない場合でも、企業グループを構成する会社には内部の労働者代表に対し情報を提供することが求められるとの見解を示した。

次に情報提供義務の範囲についてだが、企業グループの組織構成に関わる情報が欧州労使協議会の設立等に関わる交渉の開始に不可欠なものである場合には、企業グループ内の会社はそれが保有する、あるいは獲得し得る情報を内部の労働者代表機関に提供しなければならないとの判断が示された。そして一定の場合には、目的に不可欠な情報を明示した文書の交付も求められた。

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