4輪メーカーの販売不振で8月は25%減産
 ―大量解雇の不安も

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年12月

ブラジル自動車工業協会の発表によると、2001年の1日当たりの4輪生産量は5月まで8.994台であったものが、その後毎月低下して8月は25%減の6,775台となるなど、急速に市場が悪化している。4輪メーカーの各社は既に7月から「集団休暇」を採用して生産調整を図っているが、工場と代理店の露天置場にある在庫は減少せず、短期的に消費市場が回復する見込みもないため、9月に入って大手メーカーを皮切りに再度の集団休暇が始まった。

フィアットは全従業員の70%に9月25日から15日間休ませる。GMは20日間。またVW(フォルクスワーゲン)は工場だけで2万1,000台の在庫が出来たために、日数を明らかにしないままで集団休暇の実施を発表したが、労組では21日間の休暇通告を受けたと話している。同社は同時に任意退職募集を開始し、社内の各部門の下請け化を強化すると表明した。労組では会社側が2万1,000人の労働者のうち4,000人を整理する予定だと捉えている。

ブラジルでの自動車生産中止を発表したクライスラーも任意退職募集を開始した。

集団休暇採用直前になって部品の発注を突然キャンセルされた部品工業は、4輪組み立てメーカーに合わせて同様の休暇を行わざるを得ず、4輪産業界全体に影響が出ている。

こうした連続集団休暇の採用は、これまで概して大量解雇が行われる前に実施されることが多かったために、9月25日からベア要求の労使交渉を開始した金属労働者に不安を抱かせている。

サンパウロ首都圏の衛星都市ABC地区で中央労組CUTに属する金属労組のルイス・マリーニョ委員長は、既に困難に直面している労使交渉がさらに厳しいものになると予想している。労組からみると、集団休暇とは市場の前途予測がつくまでのメーカ側の時間稼ぎであり、もし休暇中に在庫が減少しないと、メーカーはまた集団休暇を行うか解雇に踏み切ることとなる。

同委員長は集団休暇の後に解雇を言い出さないように期待するしかないと述べるとともに、しかしすでに準備している使用者側への要求事項は変えることなく、週44時間労働を40時間労働へ短縮、7,6%のベア、各種特恵の継続を要求する、としている。

また、もう一方の中央労組フォルサ・シンジカルに所属する部品工業労組は10%のベアと5%の生産性、週40時間労働、1年間の雇用保証を要求している。

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