フィリピン経済に貢献する海外出稼ぎ労働者
―海外へ出国する出稼ぎ労働者、1日当り2300人

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年11月

パトレシア・Sto・トーマス労働雇用大臣は2001年8月2日、「国内での就職難から、毎日平均約2300人、毎月約7万から7万5000人の労働者が、海外で働くために出国している」と述べ、多くの国内の失業者が、経済が停滞している中で海外での働き口を探していることを認めた。また、1970年代から換算すると数百万人のフィリピン人労働者が海外に職を求めて出国しており、出国する労働者は、フィリピン経済の成長率の鈍化により再び増加し始めていると述べた。Sto・トーマス労働雇用大臣は、ノルウェーや米国を中心にフィリピン人医療労働者に対する求人が増加していると説明し、これらの地域での移民政策の変更により2年後には、家族も海外に出国できる可能性があることを明らかにした。

労働雇用省(DOLE)によると、フィリピン経済の成長率は、第1四半期に2.5%に鈍化し、失業率は13.3%、不完全雇用率は17.5%にまで上昇している。約500万人のフィリピン人労働者が、海外で海員・メイド・建設作業員・技術者等の仕事に従事しており、海外労働者の家族への送金は、家族と国家が経済的に危機的状態に陥るのを防いでいる。

大統領も激励

アロヨ大統領も海外で働くフィリピン人労働者に対し、まだ国内の雇用関係が十分整備されていないため、暫く海外に滞在し働き続けるよう要請している。アロヨ大統領はシンガポール訪問中の8月26日、同国で働くフィリピン人労働者を激励し、フィリピン経済に対する貢献を賞賛した。

アロヨ大統領は、シンガポールで働くフィリピン人労働者のために新たに設立した職業技術訓練センターの開校式に出席し、このセンターは、高度な技術を持った技術者が技術の低い労働者やメイドにコンピューターに関する知識や美容技術を講義する場を提供すると説明した。Sto・トーマス労働雇用大臣も、海外出稼ぎ労働者の技術力の向上は帰国後の就職時に有利なポストをもたらす、と強調した。

現在、シンガポールでは約8万人のフィリピン人がメイドとして働いている。メイドの月収の平均は約250ドルで、これは首都マニラの技術労働者の初任給の2倍以上である。

出稼ぎ労働者への住宅資金貸付を増額

アロヨ大統領は、クアラルンプールでフィリピン人出稼ぎ労働者15人に対し住宅ローンの融資契約書を手渡した。これは、最近設立された、住宅都市開発調整協議会(HUDCC)が海外出稼ぎ労働者と海外に永住しているフィリピン人労働者に提供している特別融資制度を利用したもので、HUDCCのミッチェル・デフェンサー議長は、海外の多くのフィリピン人労働者は母国に住宅を持つことを望んでおり、HUDCCは、融資の最高限度額を50万ペソから200万ペソに引き上げ、国内の開発業者と協力して海外の出稼ぎ労働者に提供する住宅を開発していると強調した。

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