34%の世帯が貧困状態
―国家統計調整委員会の発表

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年11月

国家統計調整委員会(NSCB)は2001年8月3日、「貧困世帯」の割合が拡大しており、1997年の31.8%から2000年には34.2%に上昇したと発表した。これは世帯数でみると、約520万世帯が貧困ライン以下の生活を送っていることになり、1997年と比較して、70万4270世帯増加した。貧困発生率は、都市部では1997年の17.9%から2000年には20.4%に、地方では1997年の44.4%が47.4%に増加した。

NSCBが貧困世帯とみなす個人の収入の基準は、1997年は年収1万1319ペソ以下、2000年は1万3916ペソ以下である。

NSCBは、この貧困層増加の原因をアジア金融危機の影響、エストラーダ政権末期の政治的混乱、政府とモロ・イスラム解放戦線との戦闘による治安の悪化にあると見ている。アジア金融危機により、国際金融市場でのペソの価値は対ドル比で約50%下落した。これが石油製品を中心に様々な物価を押し上げた。一方、労働者の賃金は、エストラーダ政権末期の政治的混乱に起因する経済の停滞により、低い上昇率のままだった。また、南部ミンダナオ地方での政府とモロ・イスラム解放戦線との戦闘により、企業や自営業者が経営を停止したり商店を閉店したため、これがこの地方の労働者の収入にも大きく影響した。

地域的に見ると、ムスリム・ミンダナオ自治地方が最も貧困率が高く、約70%の世帯が貧困層に属する。これに続くのはビコール地方の56.3%、中央ミンダナオ地方の50.9%である。

5月1日運動等の 急進的な労働組合は、このような貧困層の増加に対処するため、教会、青年団体と提携して一律125ペソの最低賃金の引上げ要求を開始した。この新しい提携は、『賃上げ同盟(Wins)』と命名され、政府に対しこの大幅な賃上げ要求を受け入れるよう計画を進めているが、組織の詳細な内容や活動計画はまだ公表されていない。

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