欧州委員会、労働基準を世界的に促進するためのコミュニケを採択

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年11月

欧州委員会は2001年7月に、労働基準と社会的統治を世界的に促進するためのEU独自の戦略を提案するコミュニケを採択した。

同コミュニケは、全世界レベルでの中核的な労働基準の適用を支えるための欧州と国際的レベルでの戦略を提案している。

過去10年間に、様々な機関や国際会議で労働基準の普遍性が議論されてきた。こうした流れを受けて、今回のコミュニケ採択に至った訳である。

国際的レベルでの戦略―ILOの役割

欧州委員会が示した戦略では、まず国際労働機関(ILO)が中心的役割を果たすことが確認されている。つまり、ILOの各機関を効率的に利用し、そして他の国際機関の協力を仰ぐことで、世界的な統治システムのバランスをとろうというのである。そのためにILOにおいては、広報活動や効果的な追跡調査などを含めた監督体制の強化と中核的な労働基準の遵守を促す体制づくりについての議論が求められる。

さらにコミュニケは、ILOやWTO、世界銀行等の国際機関が参加する上級レベルの国際会議の開催も提案している。

欧州レベルの戦略

貧困や国内の体制未整備がしばしば社会問題を引き起こしているとの認識に基づき、コミュニケは中核的な労働基準を各国の開発政策と融和させ、開発途上国が労働基準を適用する能力を強化するよう求めている。また、中核的な労働基準は、欧州と第3国との間の双務協定に定めるよう提案されている。現時点では、中核的労働基準の適用を条件に、開発途上国に対する優遇制度が用意されている。欧州委員会は、この制度をより魅力的なものに、そして開発途上国の開発援助に役立つよう改良することを提案している。

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