最低賃金12.6%引き上げで時間あたり2100ウオン(月47万4600ウオン)確定

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年10月

最低賃金委員会は7月20日、2001年9月1日から2002年8月31日まで適用される最低賃金を前年同期より12.6%引き上げ、時間当たり2100ウオン(月47万4600ウオン)にする案を議決した。

今回の最低賃金引き上げをめぐっては最後まで労使間の隔たりが解消されなかったため、最低賃金委員会(労使公益、それぞれ9人ずつ)は全体会議を開いて経営側の時間当たり2060ウオンと労働側の時間当たり2100ウオンに対して表決を行い、結局労働側の要求案を採択したのである。

この決定に対して、韓国経総は「企業の実情を無視したものである」と反駁し、「下半期の景気見通しが不透明な中で決まった今回の最低賃金引き上げ率は最近の労使交渉による賃上げ率5.7%より倍以上高い水準である。これは事業所別賃金交渉にも少なからぬ影響を与えるだろう。また企業の経営基盤のみでなく、低賃金労働者の雇用状況をもさらに悪化させるだろう。これから最低賃金制度の諸問題点を是正するため立法請願などの措置を講じる計画である」ことを明らかにした。

これに対して、労働界は「労働者間の賃金格差や階層別所得格差の拡大傾向に歯止めをかけるため、最低賃金を最終的に常用労働者平均賃金の50%水準(例えば、今回は当初の要求案として時間当たり2837ウオン)に引き上げなければならない」との立場を強調した。

労働部の関係者は「労働側の要求水準には及ばないものの、労働生産性増加率(7.3%)、名目賃金上昇率(7.5%)、労使交渉による賃上げ率(5.7%)などを勘案すれば、労働側の立場がかなり反映されたものといえる。最低賃金は常用労働者(20万1000人、全体の2.8%)のみでなく、非正規労働者にも適用されるため、実際にその対象になる労働者数はかなり多いだろう」と述べた。

いずれにせよ、1988年の導入以来その実効性がだんだん薄れてきた最低賃金制度は、ここにきて最低生計費の保障のみでなく、階層別所得格差拡大の是正や非正規労働者の労働条件改善などにも有効な手段としてより積極的な役割が期待されるようになったといえる。それだけに、経営側が懸念する全般的な賃金上昇や雇用などへの影響も含めて、最低賃金制度の効果に対するバランスのとれた検討が望まれるところである。

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