ハンガリー／外国直接投資とマクロ経済的展望

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※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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• 国別労働トピック：2001年10月

中・東欧への外国直接投資(FDI)を巡る旧社会主義国間の競争において、ハンガリーの過去10年間の実績は良好であり、この間にハンガリー経済に向けられた投資は210億ユーロに達した。

中・東欧における国民一人当たりのFDIを比較すると、ハンガリーは一人当たりの投資額が2,130ユーロで第１位を占め、チェコ共和国が1,880ユーロで第２位、ポーランドは945ユーロ、次いでスロバキアが419ユーロであった。表１にハンガリーにおけるFDIの進展の概要を示す。

表１　1996年から2000年のハンガリーにおける外国直接投資

資料出所：経済省

各種の研究機関や調査報告が、ハンガリー経済のパフォーマンスを定期的に評価している。例えば、金融レビュー誌として有名な『Euromoney』の３月の報告書に記載されたカントリーリスク序列におけるハンガリーの順位は、中・東欧では優れている。世界ランキングでは、ハンガリーは32位で、スロベニアがそれに続く。チェコ共和国は41位、ポーランドは45位、スロバキアは53位である。

他の金融雑誌、『Institutional Investor(機関投資家)』によれば、ハンガリーは36位である。同ランキングでは、スロベニアが30位、チェコ共和国が35位、ポーランドは38位、スロバキアは58位である。経済パフォーマンスが最高の国についての上記の両評論誌の序列は同じである。

1. スイス
2. ルクセンブルグ
3. オランダ
4. フランス
5. 米国

欧州連合(EU)への加盟を準備している諸国とハンガリーの地位を比較してみよう。Research Institute of the Deutsche Bank(ドイツ銀行研究所)によれば、ハンガリーとスロベニアだけが、2003年にEU加盟国になる可能性が20％ある。2004年は、ハンガリー、チェコ共和国およびスロベニアに40％の可能性が見込まれる。また、2005年には、これら３カ国の可能性は80％になるだろう。さらに、エストニア、ポーランドおよびスロバキアにも75％の可能性が見込まれる。

ドイツ銀行研究所の専門家達は、CEE(中・東欧)地域の経済パフォーマンスを測定するために、いわゆる収斂指標(例えば実質経済パフォーマンス、通貨および金融指標、外国貿易)を開発した。これらの指標によると、中・東欧地域内ではハンガリーがスロベニアに次いで第２位の地位にある。

ハンガリーは、いわゆる「マーストリヒト基準」の評価に基づくと、GDPに関連して「国家負債率」に関する基準を既に充足している。ハンガリーでは、国家負債の割合はGDPの60％未満である。しかし、ハンガリーのインフレ率は、「EU諸国の最低平均インフレ率プラス1.5％」というマーストリヒト基準のインフレ許容率に遠く及ばない。ハンガリー政府は2003年および2004年のインフレ率は５％から６％と予測している。

ハンガリー国民にとって、EU加盟は犠牲を伴うものとなろう。例えば、食品やサービスの価格は高騰すると思われる(平均では10％でも、野菜、肉、乳製品は10％から50％値上がりするであろう)。

賃上げも必要になるであろう。例えば、1998年にはハンガリーの賃金はEUの平均賃金のわずか27％であった。ハンガリー政府の意図により、実質賃金は来年４から５％上昇し、その後毎年2.5％から３％上昇する見込みである。

雇用問題を見ると、現在の国民の労働力率は60％であり、政府はこれを2004年には２％増加したいと望んでいる。現在、ハンガリーには6,784,000人の労働年齢人口があり、3,825,000人は就業しているが、262,000人は失業している。投資面では、現在の投資率はGDPの25％であるが、EUへの統合を成功させるためには、2004年に28％から29％に増加する必要がある。表２は1999年から2004年のハンガリーにおける主要なマクロ経済指標を示す。2004年はハンガリーがEUに加盟すると期待される年である。

表2　マクロ経済的成長の指標(前年比：％)